トヨタが2000GT用補給部品を復刻生産(続報)開発スタッフへインタビュー

GAZOO Racing Company



開発スタッフに聞く

まず始めに復刻生産が始まる部品の点数だが、5MTについては17品番で総数が75個、デフが4品番で4個となり、総数は79個に達する。その、あたりの詳しい事情を、5MTの開発に当たった愛甲寿晴さんと、デフを担当した石川清成さんの二人の技術者(ともにトヨタ自動車(株)パワートレーンカンパニーBRパワートレーン開発室主任)に聞いた。


トランスミッションを担当した愛甲寿晴さん。5MTギヤの復刻生産では、ベテランから、MT生産のラインを体験していない若い技術者への技術の伝承がおこなわれたと話してくれた。

5MTについて、愛甲さんはこう語ってくれた。「トランスミッションは、大きな負担がかかる箇所なので、長く使っていれば故障することもあります。交換しようにも部品が欠品ではオーナーの方々がお困りになるので、交換した方がよい部品はすべて用意いたします」

「シンクロリングは、他のトヨタ車のもので流用できる可能性のある品が分かっていて
、(復刻せずに)供給が可能なので、今回、発売することができます。トランスミッションをオーバーホールする際に必要なギヤ類だけでなく、ベアリング、オイルシール、ガスケットなども準備しました」


トランスミッションに用いられるガスケット、オイルシールキット(前期型)。


「オーバーホールする際にはベアリングを交換するでしょうから、18個あるすべてを用意しました。紙ガスケットについては、現在では当時と同じ材料は手に入りませんから、現行車に使っている最新の材料を使って、同等のものを制作しました」

前述したように、5MTの復刻部品は75点にも達する。ギヤやシンクロリングは単体での
販売になるが、それ以外の部品は3セットに分けたオーバーホールセットとして販売することで、入手の際の煩雑さを解消している。紙ガスケットとオイルシールのセット。ベアリングとアジャストスペーサーワッシャーのセット。スナップリングとカシメナットなどのセット。これら3点にパッケージ化されている。


トランスミッションのシンクロナイザーリングについては、他のトヨタ車用の使用が可能なことから代替品が供給される。手前の列が前期型、奧の列が後期型。


石川清成さんはデフについてこう語っている。「デフの後期型図面は残っていました。前期型デフの図面は一部しか残っていなかったのですが、現物を参考にして再生産の準備をしています。改良を受けた後期型では、リングギアのサイズアップをおこなっています。また、前期型のギヤは1600GT5(RT55)とコロナ・マークⅡ1900 GSS(RT75)のどちらにも使われています」

すなわち、今回の2000GTのためのギヤ再生産は、RT55とRT75のオーナーにとっても朗報であろう。


最新の機器によって、精度などの各検査を実施中のデフギヤ。



トランスミッションの製作を担当するのは、鍛造部品などを手掛けている本社工場だ。


新車当時、最終減速比にはオプションのギヤ比も用意されていたが、標準の4.375を復刻生産することになった。

計画開始から1年
「このプロジェクトが始まったのは、およそ1年前からで、オーナーの方々、経験者の皆さんの声を聞きながら進めていきました。もちろんトヨタ自動車内だけの力で実現できるわけではなく、日頃から当社と一緒に車づくりをしている、仕入れ先の方々のご協力があって、成り立っているプロジェクトです」と語るのは、茂木英雄さんだ。


この計画を牽引している茂木英雄さんに計画の全体像を聞いた。元燃費のスペシャリストで、LFAでは変速比の設定を担当したという。


「復刻する部品についてのご希望はいろいろ届いていますし、お応えしていかなければ
なりません。まずは、車検をしっかり取るために必要な部品と、走らせるために必要な部品を揃えいくことからはじめています」

「また、再生産品を増やしていく一方で、トヨタ車のたくさんの部品の中から、2000GT
に問題なく使用することができる品の代替品リストを作って、オーナーの皆さんにお伝えすることも考えています。シンクロリングは他車種用に同等品があったので、改めて、2000GTの補給部品としてご提供します。また、エンジンオイルのクリーナーエレメントも、トヨタ用にほぼ同等品があります」

文:伊東和彦/Mobi-curators Labo. 写真:トヨタ自動車株式会社 GAZOO Racing Company

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