現代へと受け継がれるスピリット│アルピーヌA110が辿ってきたヒストリー


 
そして2019年には、ハイパワーバージョンであるA110Sが追加された。一般的に高性能版といえば、大型スポイラーや大径ホイールなどを装着するのが定石だ。しかし、このモデルにはどこにもSの文字が見当たらない。フロントフェンダー上にある「ALPINE」のロゴであるAの文字がメッキ仕様からブラックへと、Cピラーにあるバッヂはトリコロールカラーから、オレンジとカーボン柄の組み合わせに変更されている。エクステリアで最大の違いはルーフがカーボン製になっていることだ。これによって1.9kgの軽量化を実現しているという。さらによく見れば、ブレンボ製のブレーキキャリパーはオレンジ色の塗装に、ホイールはA110ピュアと同デザイン同サイズながら色をグレーのチタンカラーへと変更し、さらにタイヤ幅をフロントは205から215へ、リアは235から245へと、それぞれ10mmワイドになっている。なんともアルピーヌらしいマニアックな変更箇所のオンパレードだ。


ダブルウィッシュボーン式のサスペンション構造を採用することで、高速走行している時において安定性とハンドリングの正確性をさらに向上した。
 
新型A110の白眉はといえば、その軽さにある。1110kgという車両重量は、ベースのみならずハイパワーバージョンのA110Sであってもまったく同じであることに、開発陣の相当なこだわりがみてとれる。


ブレンボ製のブレーキキャリパーがオレンジにカラーリングされていることも、A110 Sの特徴である。ホイールはグレーのチタンカラーへと変更されている。

 
1.8リッター4気筒ターボエンジンは、A110Sではより高回転型へとチューニングされており最高出力が40ps増しの292psとなった。といっても300ps以下で今どきのスポーツカーとしては驚くような数字でもない。最大トルクは320Nmでこちらはベースと同じ。トランスミッションは7段DCTでギア比も含めて変更はない。サスペンションは、スプリング、ダンパー、アンチロールバーの剛性をそれぞれ50%増しにしたシャシースポールを採用する。車高はベース車比で4mmローダウンし、軽量化されたカーボン製ルーフともあわせて重心を最適化し、高速安定性やハンドリングに貢献する。


A110 Sにおいて、最大の特徴といえるのが、このカーボン製ルーフである。さり気ない仕様なのだが、1.9kgの軽量化が低重心へと大きく貢献している。
 
A110Sはシャシースポールの効果もあって、ベース車に比べてロール量が少ない。軽快感はベース車のほうが高いが、Sは安定感が増した印象だ。前後重量配分は前軸重が480kg、後軸重が630kgで、44:56とまさにミドシップカーならではのバランスだ。しっかりとブレーキを踏んで前に荷重を移動し、ステアリングを切り込んだときの手応えのよさは、なんとも形容しがたい。


110Sのシートには、質感の高い人工スエード素材に、鮮やかなオレンジのステッチが採用されている。個性的でありながら洗練された空間が演出されている。
 
ちなみに同じミドシップのポルシェケイマンSの車両重量は1460kg。出力は350psだ。一方でA110Sは約350kgも軽いわけで300psでも十分に速く楽しいことはいうまでもない。スポーツカーにとって軽さは正義であり、それは楽しさだけでなく、物理的なパーツ量や燃費の削減にもつながる。いまどきの言葉でいえばサステイナブルなスポーツカーともいえるのだ。


アルピーヌ A110 <>内はA110S 数値
ボディサイズ:4205×1800×1250 mm 
ホイールベース:2420 mm 
車重:1110kg 
駆動方式:MR  
変速機:7段AT
エンジン型式:直4 DOHC 16バルブ ターボ 
排気量:1798 cc
最高出力:185kW(252ps )/6000rpm <215kW(292ps )/6400 rpm>
最大トルク:320 Nm / 2000 rpm 本体価格(税込):790万円 <899万円>

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