パリ近郊にできた日本酒の蔵 WAKAZEを訪ねて

Photography:Tomonari SAKURAI



かつて、ルイ13世がパリ市民においしいお水をとこの源泉からパリへ水を引くほど良質な水がここにあるのだ。日本とは違いミネラル豊富で硬質な水をそれに併せた製法で今井氏が仕込んでいく。使用される米もフランス製。フランスに住む多くの日本人、日本食レストランで使われる日本の米はイタリア製がほとんどなのでフランスで日本のお米が作られていること自体が驚きだったが、塩で有名なカマルグで栽培されるジャポニカ米を使用している。


温度を下げながらお米が固まってダマが出来ないように広げていくもみ上げ作業。

麹菌は日本にしかないので、日本からのものを使用しているが酵母菌に関してはフランスのワイン造りにも使われるものを使用している。訪れたこの日蒸した米を職人達が手で温度を冷ましながらほぐし、そしてタンクにその米と水を追加していく仕込みを撮影させていただいた。この日蒸した米は、ワイン用の樽に移して熟成される酒になる。樽の香りに負けない味付け、香り付けをしていくというものだった。

フランスはバカンスシーズンに入るのでそれに併せてこの夏前の最後の仕込みということで
230kgのお米が使用された。蒸したお米を運び出し、それを冷ましながらダマにならないように手で広げていく。工房はお米の甘い香りに包まれここがパリ近郊だということを忘れてしまう光景となる。


米と水を加えて混ぜていく。

2500リットルのタンクが12基ある蔵。ここで造られた日本酒は毎月4000本以上を出荷。まだ1年
もたたずしてその名をフランスに知らしめている。一部は日本に出荷されておりフランス製の日本酒を楽しむことができる。以前、ある日本の酒蔵がフランスに日本酒を売り込むためにワインに似た味の日本酒を造っていた。ここWAKAZEで作られる酒はそういった偏ったものではなく、日本酒の伝統を守り、その土地、今はここフランスの土壌に併せた原料を日本酒製造の技をうまく生かしてきちんとしたフラン製の日本酒を楽しませてくれる。ブランド名のようにきっと「和」の風を吹き込んでいるのである。


”C’EST LA VIE”(それが人生さ)という甘口のお酒。コンテチーズとよく合う。フランスに併せてボトルはコルクで栓をしている。


https://www.wakaze-sake.com

写真&文:櫻井朋成 Photography&words: Tomonari SAKURAI

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