変化の中で見つけた、変わらず残り続けるもの。

Photography:Masaya ABE

雨が降る中、海に向かって車を走らせた。一人、高速道路を走りながら、これからの自分、そして家族の暮らしについて考えていた。今まで考えもしなかった"変化"という言葉が頭をよぎる。社会が大きく動く中で、そこにどう合わせていくべきか。どちらかというと、私の40年の人生は流れに身を任せてばかりいた。ただ、妻と子どもの将来を思うと、急激な変化に戸惑いを隠せなくなる。

フィアット500Cを走らせて1時間。海沿いの、いつもの駐車場に着いた。20代の頃は週末になるとサーフボードを抱えて海に入っていた。



降り続けていた雨は上がっている。エンジンを切り、ポケットから加熱式たばこのデバイスを取り出す。周りの仲間が加熱式たばこへと変わっていく中、私は紙巻きから変える気にならなかった。これからも変わらず紙巻きを吸い続けると思っていたが、たまたま見かけた"メンソール特化型"というコピーに惹かれ、手に取ってみた。

フロントガラスの奥に広がる海を眺める。波を求めて若いサーファーが沖に出ていくのが見えた。デバイスにスティックを挿す。加熱が終わり、たばこを深く吸い込む。シトラスフレーバーの爽快感が口の中に広がる。加熱式たばこを試してみると、紙巻きと同じスッキリとした味わいで悪くない。世の中が変っていっても、大切にすべき部分は変わらずに残るのだろう。





2本目にさしかかり、デバイスのテイストアクセルをオンにした。スティックを吸い込むと深みが増した蒸気が広がる。加熱式たばこは匂いが車内に残らないので、気兼ねなく吸うことができる。



海のそばで暮らしたい。そう思うようになったのはこの5年ほどだ。だが、暮らしの大きな変化を考えると家族に切り出すことはできず、こうしてたまに一人で海までドライブし、しばらくぼんやりと海を眺めるだけにとどめていた。世の中の価値観が大きく変わろうとしている現在は、私たちのライフスタイルをスイッチする絶好のタイミングかもしれない。しばらく波を眺めるうちに、だんだんと決意が固まっていく。



3本目のスティックを吸い終えると、キーを回しエンジンをスタートさせた。ルーフを開けると潮の香りが車に広がる。都心に向けてステアリングを切り、アクセルを踏み込んだ。湿気を帯びた風が肌を撫でる。今晩にでも、妻に自分の思いを話してみよう。暮らし方は大きく変化しても、家族は変わらずにつながり続けるのだから。

文:高橋 満(ブリッジマン) 写真:阿部昌也 Words:Mitsuru TAKAHASHI(BRIDGE MAN) Photography:Masaya ABE

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