北へ、南へ、シトロエン2CVと30年│第6回 シトロエン2CVとVWビートル徹底比較(その4)



2CVもエンジン始動の手順はほぼ現代の車と同じだ。一つだけ違うのはチョークが手動式なので、寒い時はチョークレバーを引いてアイドリングを保つ必要がある(ちなみに空冷式のエンジンだけに気温が10度以下の場合はフロントグリルに風防グリルを付けることが推奨されている)。



ダッシュボード、というほど立派なものではないが、そこにはスピードメーターと燃料計、そしてワイパーやハザードのスイッチが並んでいる(左側のタコメーターと油温計は後付け、ステアリングホイールも60年代のもの)。



それにしても配線がいろいろと隠し切れていないことは、ビートルと比べて頼りない印象を与える数多くの理由のひとつであろう。ブレーキマークのスイッチは、その上にある大事なブレーキ警告灯が「切れていないか」を確認するためのものだ。自分たちの国の灯火類の品質を良く知るフランス人らしい配慮である。

ワイパーの左横のポンプはウインドウウォッシャーのためのものだ。これを押すと水鉄砲の原理でウォッシャー液が飛び出し、多くの場合、同乗者のウケを取ることができる。ステアリングシャフトの横からはサイドブレーキレバーが伸びている。これは引けばサイドブレーキが掛り、軽く手前に引きながらボタンを押すと解除されるという一般的な動かし方で扱えばOKだ。なお手前の間欠ワイパーは後付けである。



ウインカーレバーは左、ライトのスイッチおよびハイロー切り替え、そしてホーンは右側のレバーがすべて担当する。ライトはレバー先端を回すことでONOFF切り替え、レバーを手前に引くことでスモールとロービーム、もしくはロービームとハイビームの切り替え、そしてレバーを左側に押し込むとホーンが鳴る。つい最近までフランス車の多くが、このタイプのホーンボタンを採用していた。軽く鳴らすにも素早く鳴らすにも好適な方式だったが、EU化の影響か消えてしまったのは残念である。



残念といえば2CVにはクーラーの設定が無い。筆者の2CVはビートル用のクーラーを取り付けているが、効きも良くないし致命的にパワーダウンするので現在は使っていない。その代わりフロントウインドウの下を開閉することができるので、走行中はダイレクトに風を取り入れることができる。写真のレバーはヒーターの温度調整用なので、残念ながら青い方に動かしてもヒーターからの風が出なくなるだけで涼しい風は出ない。



2CVの特徴の一つであるダッシュボードから伸びたシフトレバー。見るからに難しそうだが、昔のポルシェのように左下が1速のマニュアルシフトだと思うことと、左右にレバーを倒すことを理解すれば、そんなに難しくはないよ、と持ち主としては主張したい。



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