時計を愛し、メカを愛し、自動車を愛した男は、ラグジュアリーなワンメイクレースを立ち上げ、さらに自らステアリングを握って参戦してしまった。
ご多分にもれず、時計業界にも自動車好きは多い。特にスイスの場合、時計を作っている工場は山深いエリアにあるため、自宅やブティック、あるいは空港がある都市まで出て行くには自動車が必要であり(自家用飛行機という場合もあるが)、しかもその途中には気持ちの良いワインディングロードが続いている。美しい景色の中で愛車を走らせるという贅沢が待っているのだから、自動車に凝らない理由はないのである。しかしながら、時計界きっての"CarGuy(自動車野郎)"となれば、マーク・A・ハイエックをおいて他にはいないだろう。
マーク・A・ハイエックは、スウォッチを生み出したスイス時計業界の救世主ニコラス・G・ハイエックの孫という時計業界のサラブレッドであり、現在はブレゲ、ジャケ・ドローそしてブランパンのCEOを務めている大物。しかしながら、「自分のオフィスより時計師の部屋にいる方が好き」という根っからのメカ好きなのだから、その情熱の一部が自動車に向かっても不思議ではない。
しかもそのスケールが大きかった。ブランド哲学に心酔し、自らもオーナーであったランボルギーニと交渉して、ワンメイクレースである「ランボルギーニ・ブランパン・スーパートロフェオ」を開催してしまった。しかも主賓席から観戦するのではなく、ドライバーとしてレースに参戦してしまったのだ。
それでもタイムが遅ければ笑い話だが、マーク・A・ハイエックは本気。いくつかのレースで優勝しており、アマチュアランキングの上位につけたこともあった。ここまで来ると、もはやマーケティングの枠を超えている。自分が参戦するためにレースを立ち上げたのだとしたら......、本物のCarGuyである。
ブランパンもランボルギーニも、常に進化し、美を追求しているブランドだ。しかし何よりも、作り手やユーザーが情熱的であるという共通項がある。マーク・A・ハイエックは自ら、それを体現している。
ブランパン公式ページ:www.blancpain.com
原文:篠田哲生 再編集:オクタン日本版編集部
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