時計を愛し、メカを愛し、自動車を愛した男は、ラグジュアリーなワンメイクレースを立ち上げ、さらに自らステアリングを握って参戦してしまった。
ご多分にもれず、時計業界にも自動車好きは多い。特にスイスの場合、時計を作っている工場は山深いエリアにあるため、自宅やブティック、あるいは空港がある都市まで出て行くには自動車が必要であり(自家用飛行機という場合もあるが)、しかもその途中には気持ちの良いワインディングロードが続いている。美しい景色の中で愛車を走らせるという贅沢が待っているのだから、自動車に凝らない理由はないのである。しかしながら、時計界きっての"CarGuy(自動車野郎)"となれば、マーク・A・ハイエックをおいて他にはいないだろう。
マーク・A・ハイエックは、スウォッチを生み出したスイス時計業界の救世主ニコラス・G・ハイエックの孫という時計業界のサラブレッドであり、現在はブレゲ、ジャケ・ドローそしてブランパンのCEOを務めている大物。しかしながら、「自分のオフィスより時計師の部屋にいる方が好き」という根っからのメカ好きなのだから、その情熱の一部が自動車に向かっても不思議ではない。
しかもそのスケールが大きかった。ブランド哲学に心酔し、自らもオーナーであったランボルギーニと交渉して、ワンメイクレースである「ランボルギーニ・ブランパン・スーパートロフェオ」を開催してしまった。しかも主賓席から観戦するのではなく、ドライバーとしてレースに参戦してしまったのだ。
それでもタイムが遅ければ笑い話だが、マーク・A・ハイエックは本気。いくつかのレースで優勝しており、アマチュアランキングの上位につけたこともあった。ここまで来ると、もはやマーケティングの枠を超えている。自分が参戦するためにレースを立ち上げたのだとしたら......、本物のCarGuyである。
ブランパンもランボルギーニも、常に進化し、美を追求しているブランドだ。しかし何よりも、作り手やユーザーが情熱的であるという共通項がある。マーク・A・ハイエックは自ら、それを体現している。
ブランパン公式ページ:www.blancpain.com
原文:篠田哲生 再編集:オクタン日本版編集部
2024.03.29
ランボルギーニ、その60年はV12と共にあり|60 Years of ...
ランボルギーニの起源にまつわる物語はよく知られている。イタリアン・エキゾティックの世界で新参者のフェルッチョが注目を集めるためには、フェラーリに匹敵するエンジンを持たねばならなかった。そこで彼は世界最 ...
2024.03.26
フェラーリのあるライフスタイルのために|Nicole Competiz ...
2024年2月にオープンした「Nicole Competizione プレオウンドショールーム & サービスセンター」は、総床面積4191㎡という広い建物に20台前後の認定中古車とレーシングフ ...
2024.03.27
クロノグラフを発明した天才、『ルイ・モネ』の時計|Louis Moin ...
自動車の歴史はスピードというもっともわかりやすい性能を競う歴史であり、そのスピードを数値化する計測の歴史でもある。その計測において、クロノグラフという機構がもたらした功績は計り知れないが、意外やルイ・ ...
2024.03.20
DSをキャンバスに!? 子どもも喜ぶ「ヴァンセンヌ旧車会2024年3月 ...
パリの東の要、ヴァンセンヌ城。その前の広場で毎月開かれるヴァンセンヌ旧車会定例ミーティング。今月3月は第二週日曜日に集まった。本来は第一日曜日だが、先週はパリ セミ マラソンが開催されそのコースの一部 ...
2024.03.18
連載:アナログ時代のクルマたち|Vol.22 ポルシェ908シリーズ
1968年にFIAはグループ6のスポーツカープロトタイプカテゴリーのレギュレーションを変更し、最大排気量を3リッターに定めた。この結果ポルシェはレギュレーション一杯の3リッターエンジンを開発することに ...
2024.03.22
ポルシェ新型パナメーラ海外試乗記|未体験の乗り味を実現した、驚きのサス ...
ポルシェの2023年のグローバル販売台数は32万221台と過去最高を記録している(ちなみに国内の新規登録台数も初の8000台超え)。もっとも売れているのがカイエン、続いてマカン。そして911、タイカン ...
2024.02.22
【追悼】マルチェロ・ガンディーニが若者に伝えたい大切なメッセージ|トリ ...
人生の恩師 マルチェロ・ガンディーニを偲んで…世界中のクルマ好きを魅了した天才デザイナーが2024年3月13日、永眠した。去る1月12日、トリノ工科大がマルチェロ・ガンディーニに機械工学 ...