乗ってみないとわからない、ランボルギーニ 3台を同時試乗!



最高のクルージングマシンでもある
一方のウラカンEVO RWDはその名の通り(RWD=Rear Wheel Drive)にさらに走ることを楽しむためのモデルだが、実はクーペもスパイダーも、瞬間的スピードとドライビングエクスペリエンスに注力しながらもクルージングスピードでのダライビングプレジャーのための仕掛けに余念がないとわかる。まず、自然吸気によるエンジンのレスポンスは、走行モードをSTRADAで設定していても思いの外にリニアだし、1400kgを切る乾燥重量(クーペ)は車体の動き出し時はもちろん、一般道から低速のワインディングをデートスピードで流しているときにも体感できる。また、STARADAモード時の室内の静粛性はこれだけのピュアスポーツカーとしては満足なレベルで、ウルスのそれとまでは行かないものの、やはり同乗者との会話を楽しみながらドライブを楽しむことにも配慮されているとわかる。一方で、クーペをベースに今夏から市場に投入されたスパイダーは、まさにクルージングタイムをさらに充実させてくれる。



時速50km/h以内であれば走行状態でも17秒で開閉するトップは、オープン状態だと個人的には時速80km/h以内までがオススメ。リアの防風パネルを上げ、適度に風を感じながら走れるのがこの速度域だからだが、車内で音楽や会話を楽しむにもこのあたりが最適な速度だと思う。ピュアに走りを楽しむために用意されたSPORT、CORSAは官能的ではあるものの、緊張感を伴わないクルージングタイムに同様の走りの楽しさを感じられる味付けこそが現代のランボルギーニの魅力かもしれない、というのがこの3台を乗り比べてみた印象だ。

ランボルギーニに乗ると、ヒーローになれる
今回の試乗会で俄然興味を覚えたのがハイスピードレンジでの魅力ではなくクルージングスピードレンジでの魅力。ただこのように並べられた車両を見るに、やはりランボルギーニ最大の魅力はデザインだと気づかされる。この直線とハニカムで構成された建築的かつデジタル的なデザインコードは、10年ほど前まではアニメーション・キャラクターのデザインと同一視され一過性のデザイントレンドと見る向きもあったはずだ。



ところがデザイントレンドがネクストテクノロジーの開花とともに、より無機質でシャープなスタイルへと移行し、高級腕時計、デジタルガジェットやグラフィックデザインにも広く拡散した今、むしろランボルギーニに見られるデザインコードは時代の本流になりつつある。ランボルギーニが新世代の富裕層に絶大な人気があるのはそんなことも理由に見える。確かにランボルギーニのインパネのデザインはアニメーション的演出に溢れていて、ヒロイックな心を掻き立てる。


ともかく、まだまだランボルギーニの好調は続きそうだ。それは一部のファンを満足させるための車両作りに留まらず、次世代を取り込むためのまた違った魅力を重層的に作り込んでいるところにある。クルージングスピードでの快適性、先進的に見えてトレンドを抑えたデザイン性がその核だと思うのだが、いかがだろうか。


文:前田陽一郎

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