現代の時計業界において、セイコーほど実直な時計作りに邁進しているブランドはない。中でも旗艦コレクションとなる「グランドセイコー」は、精度や視認性を徹底して追及することで、実用時計として圧倒的な評価を受けている。特にセイコー独創の駆動機構「スプリングドライブ」は、腕時計に"快適さ" という新しい価値を加えることで、他にはないパフォーマンスを実現した。


7月11日にバルセロナで開催される「アウディサミット」において、アウディの期間モデルとなる新型「A8」がワールドプレミアされるようだ。

同モデルは渋滞中、速度が60km/h以下の状況において、運転操作を完全に車に委ねることが可能な「レベル3」の自動運転技術が導入されるのだという。自動車の技術進化は、カメラとセンサーを駆使することで、ドライバーに負担をかけずに快適に移移するという方向に絞られつつあるのだ。

この、"技術力で快適さを作る" という進化の方向は、実は腕時計の世界にも当てはまる。腕時計には嗜好性も必要だが、見栄えばかりに気にしていては本末転倒。精度が高く、視認性に優れ、しかも美しいというストレスを感じさせない快適さこそが、実用品としての腕時計に欠かせない価値となるはずだ。

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それを強く意識しているのが、日本を代表する本格腕時計「グランドセイコー」である。グランドセイコーは1960年にスタートしたブランドだが、当時から受け継がれるデザイン哲学を守り続けており、搭載されるムーブメントも完全自社生産。一切の妥協が無いため、細部まで心血を注いだ腕時計が生まれる。

グランドセイコーでは、「機械式」「クオーツ」「スプリングドライブ」という3つの駆動方式を用意するが、中でもスプリングドライブは、快適な使い勝手を極めた腕時計だ。

スプリングドライブとは、動力ゼンマイ(香箱)が歯車を回転させる力を利用して電気を発電し、その電気を使ってクオーツ回路を動かして、歯車の回転速度をコントロールするというシステム。早い話が、F1に使われる「運動エネルギー回生システム(KERS)」と、レーダーで車間を計測し速度を自動調整するという「クルーズコントロール」の両方を備えたムーブメントいうことである。ベース部分は、時計職人が歯車などを組み込んで作る機械式時計だが、精度に関する機構はクオーツ式なので、機械式の数倍もの高精度を実現できる。ゼンマイで駆動するためトルクが強く、太く見栄えの良い針を使うことでデザイン性も高めることもメリットだ。

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これだけ理に適った理想的なシステムにもかかわらず、他社が追随しないのは、このような技術を開発することは容易ではないから。セイコーは極めて小さく、高精細なパーツも自社製造できるマニュファクチュールであり、匠の技をきちんと継承している一方で、クオーツムーブメントの実用化を実現させたという先進技術への裏付けがある。日本を代表する快適な腕時計は、独創的で卓越した技術によって生み出されているのである。

グランドセイコー公式ページ:www.grand-seiko.jp

原文:篠田哲生 再編集:オクタン日本版編集部

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