悲しい結末が待ち受けていた?「えぐれた」ようなスタイリングのフェラーリ

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ユニークなスタイリングで、フェラーリとは思えないような一台、ズラトコ・エアロダイナミックライン・コスモポリットをご紹介。

ボディのセンターがえぐれているようなスタイリングを持つ、コスモポリット。フェラーリ308GTBをデザインを手掛けたのは、クロアチアのズラトコ・ヴクシッチである。1994年のボローニャ・モーターショーで発表され、ユニークな見た目ながらも最高速度は400km/hを超えると謳われていた。

コスモポリットは実際にはフェラーリの注文であった。ヴクシッチによるプロトタイプの製作は1992年、伝説的なフェラーリ250 GTOの元チーフエンジニア兼クリエーターであるジョット・ビッツァリーニの推薦により始まった。ビッツァリーニのおかげで、ヴクシッチはマラネロに移り、車を作ることから始めるように依頼された。彼は、家族経営のカフェでの利益や、フェラーリで稼いだ自分の稼いだお金でプロジェクト全体における資金調達をおこなったといわれている。彼とフェラーリの協力は1994年まで続いていたが、市販化の夢は叶うことがなかった。



その後、メルセデスの人々が彼に近づき、数日後にブクシッチを風洞実験に招待し、コスモポリットが優れた空力性能を持っていることを示した。測定された空気抵抗は0.32で、フェラーリテスタロッサ(0.65)よりも優れていたのだ。しかし、これはドイツ政府によるスパイであったと、彼は後から主張している。



それから数々の紆余曲折があり、彼はコスモポリット、さらにいえば彼が経営していたカフェすら政府から取り上げられてしまうことに。そして、月日が流れてからボロボロになった状態でコスモポリットは発見されるという悲しい結末となってしまったのであった。

オクタン日本版編集部

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