たった19歳でレーシング・フェラーリを購入したジム・ホールから受け継ぐ0510M

Photography:Ingo Schmoldt



オーティスがレストアした作品の多くはコレクターの手元にあり、公道やサーキットで目にすることはまれだ。しかし、日ごろから「車は運転されるためのものであり、レーシングカーはレースを戦うものである」と熱心に説いているパトリックとタッツィオは、この優れた血筋を引くフェラーリ・レーサーを用いて、自分たちの伝統とレストア技術を証明しようとした。

かつてパトリックは戦前のアルファロメオを所有しており、これで北米やヨーロッパのラリー・イベントに数多く出場していたが、それでもなお、このアルファはペブルビーチでクラス・ウィンを勝ち取るほどのコンディションを保っていた。彼は750モンツァで同じこと、すなわちメンテナンスして、展示して、ビンテージ・レーシングにも参戦するつもりだったのだ。

「私たちの車をサーキットで走らせて、その体験を皆さんと共有したいと以前から考えていました」とパトリック。「タッツィオが才能に恵まれたドライバーであることは証明されたので、今度は私たちが選んだ車で彼の能力と私たちのワークショップの実力を明らかにするつもりです。これによって、私たちが仕立てた車を走らせてもいいということを皆さんに知っていただきたいのです」



パトリックがレストアの概要について教えてくれた。「本格的なレストア作業は当時の写真を徹底的に探し出すことから始まります。この車の場合、活躍した舞台のほとんどがアメリカだったので、私たちにとってはどちらかといえば楽な作業でした。オージー・ライオンズは1955年のセブリングで撮影した素晴らしい写真を残していてくれましたし、ジュリアン・グレアムが1955年と1956年のペブルビーチで撮った写真も参考になりました。

こうした調査を経て、私たちは1955年にペブルビーチのレースに参戦したときの姿を再現することを決めました。ひどいダメージを負ったことがなく、すべての記録が残っていることはまさに奇跡でした。ボディの修復も多少は必要でしたが、基本的にはなにも手を加えていません。これは、この種の車としては滅多にないことです」

編集翻訳:大谷達也 Transcreation:Tatsuya OTANI Words and Photography:Ingo Schmoldt

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