レーシングカーとして初のターボチャージャー付きエンジンを搭載

Photography: Paul Harmer

アストンマーティンの前身、バムフォード&マーティンは1922年に市販レーサーを発表する。同時にワークスカーも2台造られ、そのうちの1台、シャシーナンバー1915は翌年に速度記録に挑戦するもフロントタイヤが外れるなどのトラブルに見舞われ不成功に終わった。その後、米国のハラー・コレクションの所有となるが、1980年代に現オーナーが英国に持ち帰った。
 
一般市販されたシャシーナンバー1916、登録ナンバーOR1は1924年のレースでクラッシュした後、アルヴィスで1924年の200マイルレース6位となったフランク・ハルフォードが購入、翌年にレストア完成。もともと航空機エンジンの設計者だったハルフォードは、この車のために直列6気筒アルミブロックのツインカム1500ccエンジンを2基造り、特製のアストンマーティン製ナローシャシーに合わせたボディも新たに造られた。

当初の設計ではターボチャージャー搭載だったがテストの結果見送られ、1925年8月のブルックランズでのレースデビューの際には
ルーツ式スーパーチャージャーが装備されていた。このレースの結果からナローシャーシーに合わせたオリジナルラジエーターは小さすぎるとの判断で大型化された。この車はブルックランズでの1926年第1回ブリティッシュGPに出場したがトランスミッショントラブルでリタイア。しかし6週間後の200マイルレースではオーバーヒートに悩まされながらも10位に入った。



その後に陸上速度記録を3度更新することになるジョージ・エイストンに売却され、モンレリーでのフランスGPで4位など1927年シーズンをこの車で戦う。その後、リドレー子爵・マシュー・リドレーが購入。2基のエンジンのうち1基をターボチャージャーなしでT35ブガッティに換装。もうひとつをスピードボートに搭載したがすぐに沈没し、エンジンは船体とともに2年間にわたって水の底にあった。オールド・アストンマーティンのコレクターで、上記速度記録車のオーナーでもあるジェームズ・チェーンが1970年代にレストアを開始、ほとんどの主要部分をレスキューしてオリジナル状態に戻した。現在は速度記録車の"レザー・ブレード"とともにブルックランズミュージアムに貸し出し中だ。

ハルフォード・スペシャルのオリジナルエンジンは、レーシングカーとしては初のターボチャージャー付きのエンジンであったといわれている。

編集翻訳:小石原耕作(Ursus Page Makers)  Transcreation: Kosaku KOISHIHARA (Ursus Page Makers) Words: Allan Winn Photography: Paul Harmer

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