冷静でモダン、情熱的で古典│真夏のクローズドコースでW12とV8のベントレーコンチネンタルGTを試す




加速テストにも飽きた、いや、せっかくの貸切コースだ。公道では難しい急制動(ABSは作動させない範囲で)や高速でのレーンチェンジ、高速コーナー進入なども試してみた。

しかし、新システムに切り替わった4WDと、3チャンバーとなり容量が増加したエアサスペンション、強力なブレーキを擁する足回りは、ベントレーらしくどんなシーンでもタメのある動きを示し微塵の不安も感じさせない。ハイパフォーマンスモデルにありがちな反応の速さは時として緊張をもたらすが、コンチネンタルGTは急な操作でも「気にするな、こっちで何とかしておくよ」というメッセージを返してくるので、心地よい程度の緊張に収まる。



本来であればV8モデルはタイトコーナーでの鼻の入りが良い、などと試乗記らしいことを書きたいところだが、コンチネンタルGTシリーズはそんな曲率の高いコーナーでも身のこなしが軽く、エンジンによる違いを見出すことは難しかった。

第三世代のコンチネンタルGTには、これまで以上に数多くのデジタルテクノロジーが投入されている。しかし、テストコースで思う存分走らせて感じたのは、最新のエンジニアリングによって得たものが緻密なデジタルフィーリングではなく、むしろ滑らかでうっとりするようなアナログ的な車の動きだということだ。それはステアリングを切った時、段差を乗り越えた時、ブレーキペダルを踏み込んだ時、明確に感じ取ることができる。


美しいクーペスタイルの文法に忠実になった
夢のような時間はやがて終わりを告げた。置いてきぼりを食った小林カメラマンが慌ただしく撮り残したカットを撮影する間、目の前に止めた美しいクーペとコンバーチブルを改めてじっくりと眺めてみる。



現行モデルも一目でコンチネンタルGTとわかるルックスを持っているが、より低く、そして長くなった印象を受ける。それは延長されたホイールベースと短縮されたフロントのオーバーハングのおかげだ。新世代デザインの特徴である楕円形テールライトが配されたリアセクションは、初代、二代目のモダンで存在感を強調したものから、流れるようなファストバックスタイルに溶け込むものへと舵を切った。つまり美しいクーペスタイルの文法により忠実になったと言い換えてもいいだろう。



ちなみに、追加されたV8モデルを外観で見分けることは難しい。フロントサイドに控えめに付いているエンブレムと、楕円形のテールパイプのみだ。


第三世代のコンチネンタルGTらしいのは
個人的にはスポーティな吹け上がりで快音を放つV8モデルが気に入ったが、コンチネンタルGTを乗り継いできた人には無慈悲ともいえる加速フィールを持つW12モデルの方がしっくり来るのかもしれない。そのチョイスはなかなか難しいところだ。



ただ、滑らかでうっとりするようなアナログ的な動きと、美しいクーペスタイルの文法に忠実なデザインを持つ第三世代のコンチネンタルGTらしいのは、どちらかと言われればV8モデルだ。いずれにしても第三世代コンチネンタルGTが、プレミアムを超えたハイエンドの高級グランツーリスモとして最善の選択のひとつであることは間違いないのだが。


ベントレー コンチネンタル GT V8
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3996cc
最高出力:404kW(550ps)/5750rpm
最大トルク:770Nm(78.5kgm)/1960-4500rpm
変速機:8速DCT
駆動方式:AWD
ボディサイズ:4850×1966×1405mm
ホイールベース:2851mm
車両重量:2165kg
最高速度:318km/h
価格:2498万1000円


https://www.bentleymotors.jp/


文:馬弓良輔 Words:Yoshisuke MAYUMI
写真:小林邦寿 Photo : Kunihisa KOBAYASHI

文:馬弓良輔 Words:Yoshisuke MAYUMI 写真:小林邦寿 Photo : Kunihisa KOBAYASHI.

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