価格だけが魅力ではない!利便性も抜群のボルボ XC40 B5 AWD Rデザイン

日本で最も売れているボルボは、コンパクトSUVのXC40だ。409万円から狙える、とあって、国産のプレミアム・コンパクトSUVとさほど大差ない価格も魅力のひとつなのだろう。そんなXC40のパワートレインが一新され、全車に電気モーターを搭載することになり、純粋な内燃式エンジン車はなくなった。

これは2017年7月のボルボ「全車電動化」宣言に則ったもので、XC40にはプラグインハイブリッドモデルの追加と、ガソリンエンジン車のマイルドハイブリッド化が行われた。プラグインハイブリッドモデルは「リチャージプラグインハイブリッド」という名称が与えられ、マイルドハイブリッド化されたモデルはT4から「B4」、T5から「B5」へと変更された。なお、EVモデルのXC40「リチャージピュアエレクトリック」も追って日本のラインナップに追加される予定だ。



コンパクトSUVといえばかつては国産車の独壇場だったが、最近は高級車メーカーがこぞって投入するセグメント。XC40は全長442mm×全幅187mm×全高1660mmとコンパクトなボディでありながら、身長175cmの筆者が後席で足が組めるほど余裕あるスペースを誇る。荷室は幅・奥行きとも十分なスペースなだけでなく、折りたたみ可能なフロアで荷室を分割できたり、フックが設けられたりして、国産車を見習ったかのようなギミックも満載している。



試乗したのは「XC40 B5 AWD Rデザイン」。最高出力250ps、最大トルク350Nmの4気筒2リッター ターボエンジンに最高出力10kw、最大トルク40Nmの48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載したもの。このハイブリッドシステムは電気モーターをスターターや発電機(回生ブレーキ)、そして加速時にエンジンをアシストする役割を担うもの。スターターや発電も担うゆえに「ISGM(Integrated Starter Generator Module)」という名称が与えられている。
 
前置きが長くなったが、“あっ、ターボが効いてきた”くらいの感触しかない。それほど電気モーターによる介入は自然に溶け込んでいる。だからドライバーは普通の2リッター ターボエンジン車を操っているようにしか感じない。ただ、その介入の威力は目を見張るものがある。試乗車の車両重量1780kgとなかなかのヘビーウェイトなXC40だったが、そんな数値を感じさせないほどパワフルに加速する。軽快感というよりも力強さが目立つ。かといって、荒々しさは微塵も感じさせない。ただただ上質かつ滑らかに加速する。そして、高回転域までパワーが持続してくれるので、アクセルペダルの踏み込み量と体感スピードが一致するので気持ちが良い。

そんなパワーを受け止める足回りも、手放しで賞賛したくなる出来栄えだ。48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載したことも影響しているのだろうが、重心の低さを感じる。鈍重な響きを与えかねないが、そうではない。きっちり路面に食らいついている雰囲気で、ワイディングロードでも安定感が強烈なのだ。もちろん、路面の凹凸をショックアブソーバーが吸収しながら、ボディがフワフワと嫌な動きをすることはない。路面を柔らかく往なしていく様は、コンチネンタル製の「エココンタクト6」というタイヤの特性もあるのだろうか。



ボディの剛性の高さだけでなく、インテリアの取り付けの良さからなのか荒れた路面を走っても異音が少しも出ない。そして、結構な速度でワインディングロードを駆け抜けても、サスペンションの沈み込みとボディのロールに違和感がない。そればかりか、荷重移動さえしてやればグイグイ曲がっていく。ピッチングが出始めたら、限界に近づいてきたことのサインだ。8速ATはシフトレバーを手前に引いてから、左右に動かすことで任意のギアが選べる。ただ、シフトレバーがオシャレな“ノブ”風なものなので、ちょっと違和感を覚えた。



パワートレインに未来を感じ、足回りに安心感を覚えたなか、パワーステアリングだけはワインディングロードで結構な操作量を要求された点ではちょっと古く感じてしまった。また、ブレーキも容量が足りないとまではいわないが、ブレーキペダルの踏み込み量に対する制動力から“やっぱり重たいんだなぁ”と感じた。これはブレーキバイワイヤーのセッティングが筆者の好みと合わないのか、はたまた安全運転を心がけさせるためのセッティングであっても、安全性“オタク”のボルボゆえに驚かない。



レーダーやカメラを使い、他の車両や歩行者、サイクリスト、大型動物(欧米やオーストラリアなどでは本当に助かる)との衝突を回避または衝突被害を軽減するための警告およびブレーキ作動を行うCity Safety、主に高速道路において設定された速度を上限に前方を走行する他の車両との車間距離や速度を調整するアダプティブクルーズコントロール、さらに軽く手を添えているだけで車線を走り続けられるようにハンドル操作をアシストし、ドライバーの疲労を軽減するパイロットアシストなど数多くの先進安全・運転支援機能など「インテリセーフ」は標準装備。ボルボと切っても切れない「安全」というイメージは、ボルボ自身が大切にしているブランドバリューのひとつだといっていいだろう。と同時にライバルと比べるとオプションで稼ごう、というスタンスを感じさせないので支払い総額で比較するとリーズナブルに感じる。


ボルボXC40 B5 AWD R Design
エンジン:4気筒 DOHC 16バルブ ターボ
排気量:1968cc
トランスミッション:8段AT
エンジン最高出力:250ps(184kW)/5400-5700rpm
エンジン最大トルク:350N・m(35.7kgf・m)/1800-4800rpm
モーター最高出力:13.6PS(10kW)/3000rpm
モーター最大トルク:40N・m(4.1kgf・m)/2250rpm
ボディサイズ:4425×1875×1660mm
ホイールベース:2700mm
車重:1780kg
駆動方式:4WD
価格:589万円(税込)


https://www.volvocars.com/jp


文:古賀貴司 写真:佐藤亮太


文:古賀貴司 写真:佐藤亮太

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