スポーツカーのハンドリングをもつ 豪快で快適なオールラウンドSUV アストンマーティン DBX

Photography:Ryota SATO

ついに日本でもDBXのデリバリーがはじまった。アストンマーティンらしさをどのように表現したのか。日本でナンバー取得直後に、いち早く試乗取材を行った。

アストンマーティンは自分たちの美学を貫き通した。日本の街並みに佇むDBXの姿を見て、私はそんな感慨にふけっていた。
 
車の美しさには様々な表現のスタイルがある。よく目にするのは力をことさら誇示するタイプ、奇抜なアイデアで勝負するタイプ、妖艶さを最優先するタイプなどだが、アストンマーティンはこのいずれにも当てはまらない。人目をひこうがひくまいが、自分たちが本当に美しいと思う車だけを世に送り出す。そんな信念が、彼らの製品には息づいているように思う。
 
DBXにも、アストンマーティンが考える美しさがピュアな形で表現されている。ボディを構成するラインはあくまでもシンプルでエレガント。にもかかわらず、ひと目見ただけで決して忘れられない印象を見る人に残すのは、なぜだろうか? それはきっと、DBXのスタイリングが徹底的に磨き上げられたプロポーションとディテールだけで構成されているからだろう。純粋さのもつ力がDBXの美しさを支えていると言い換えても構わない。


 
いっぽうで、全長5m強、全幅が2mに迫るボディサイズがスタイリングの美しさと十分な居住性を両立させるうえで必要だったのは間違いないところ。もっとも、フルサイズSUVとして見れば、これは格段大きな寸法ではないし、DBXだけが特別に取り回しが悪いということもない。むしろ、着座位置の高いSUVは視界が広く開けているので、扱いやすさの面では同クラスのセダンを凌ぐといってもいいだろう。


 
彼らの美学はそのインテリアにも息づいている。高品質なレザーやウッドを用いているのはこれまでと変わらないが、それらを使った表情の作り方では新境地を切り拓いたらしく、たとえば厚めのレザーで覆われたダッシュボードにはその一部をステッチでつまみ上げて立体的なアクセントとする手法でさりげない上質感を演出している。試乗車のダッシュボードやドアトリムを彩っていたライトオリーブアッシュ・オープンポアという長い名前のウッド素材も、明るい色調が都会的な雰囲気を醸し出していて嬉しい。

文:大谷達也 写真:佐藤亮太 Words:Tatsuya OTANI Photography:Ryota SATO

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