イタリア車の歴史、技術、アート 「モデナ・モーターギャラリー」を訪ねて

Ruote Leggendarie

必要のない人からみればガラクタに見えなくもない品々、探している人から見ればお宝の山、屋外に設置されているそんな車やバイクパーツ販売の一角を歩いたら急にバイクのエンジンを始動する音が聞こえてくる。しばらくすると、またどこからか別のエンジン音。このように常にどこからともなくエンジン音が聞こえてきて思わず顔と耳を向けてしまう。先週末開催された、モデナ・モーターギャラリーの一面だ。

ミラノ・アウトクラシカというイベントが、コロナウイルスの第二波到来を避けるため当初予定されていた11月から9月に前倒しになり、ちょうどこのモデナ・モーターギャラリーと同じ日程で開催されていた。ミラノの方が規模も大きいだろうし、モデナの来場者は少なくなってしまうのではないかと予想していたが、モデナ・モーターギャラリー初日、お昼時でもそこそこの客足で、夕方にかけてかなりの来場者が詰めかけていた。コロナ禍で中止になるイベントも多い中、久しぶりに開催されるイベントを心待ちにしていたのだろう、かつて車関係の仕事をしていたのではないかと思われる、地元モデナの年配の人たちも多く見られた。



正面入口を入って通路の奥の方には、つい先日亡くなったフランチェスコ・スタングエッリーニ(日本では“スタンゲリーニ”と呼ばれるようだがここは、イタリアンスタイルで)に捧げた一台1934年のバリッラ・コッパドーロが展示されていた。この車両はフランチェスコの父ウンベルト・スタングエッリーニがエンジンを整備し1936年の24時間レースに出場した車で、スタングエッリーニのレースに携わっていたカメリーニ氏の家族が所有する一台だという。



有名人のクラシックカーとして、映画『甘い生活』の中でマストロ・イアンニが乗っていたトライアンフTR3も。フォーミュラ・ジュニアのレースカーである。本家アルファロメオの次に大きいと思われるコレクションのひとつ、モデナのリギーニ・コレクションから、アルファロメオ 110年を記念した一台アルファロメオRLスーパースポーツの展示もされていた。



アルファロメオ関係の展示の中でおもしろいと感じたのは、1966年から1996年までに製造された全モデル(それも全て赤)のアルファロメオ・デュエット・スパイダーであった。映画『卒業』でダスティン・ホフマンが乗っていたのは最初のモデル。車のデザインから時代を見ることのできるいい機会であった。展示スペースが狭く、特徴的なボディーの横のラインを一目で見比べられる配置でなかったのが唯一残念な点だった。

文:古川浩美 写真:古川浩美&Francesco Tobaldin / Ruote Leggendarie

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