日本に真に必要な、ラグジュアリーライフを提案したい


 
つまり、二町谷に建設する高級リゾートを通してラグジュアリーなライフスタイルにまつわるさまざまな情報発信をおこなうことで、日本だけでなく世界から人を集め、ひいては三浦市全体の町おこしにもひと役買う、ということ。もちろんその過程において安田造船所が取り扱う商品のプロモーションにもつながる。まさに誰にとっても"ウィン・ウィン"となる、超日本的なリゾートを目指しているのである。

「世界に名だたるハーバーといえばフランスのサントロペ、イタリアのポルトフィーノなどが挙げられるでしょう。もちろん今はまだ"MIURA"は世界で知られていません。ギガヨットの寄港地としてMIURAが挙げられるよう、ブランディング構築を続けていきます」(野澤氏)。日本で大型クルーザーが売れているのか聞いてみたが、現在は小型艇よりも70~80フィートクラスのAZIMUTの人気がとても高まっているそうだ。

日本のマリンライフは釣りに支えられて成長してきたことは事実。だが最近ではこのAZIMUT S8のような50フィートを超えるメガヨットの人気がうなぎ上りとなっている。一方で大きなサイズの係留バースがまったく足りていないのも問題。それを具体的に解決していく手段も野澤氏のアイデアのひとつだ。

 
桟橋に続きクラブハウスの建設に着工し、日本で最高のシャンパンバーを作るなど、多くのアイデアが膨らんでいるという。アート・イベント、クラシックカー・フェスティバル、ほか各種ラグジュアリーブランドのイベントなど、華やかな世界がその先には待っている。「ヴィラの目の前にはクルーザーを係留できるようにして、後ろにはヘリポートを用意するつもりです。ラグジュアリーという要素は世界のインフルエンサーをつなぎ、憧れを生み出すことで、結果的にマスを動かすことができます」と野澤氏。ムーブメントの仕掛け人には、確たる戦略の裏付けがあるのだ。



「同様のリゾートは既に伊豆の下田でも計画中です」と野澤氏は続ける。東京から車で1時間半の三浦、ヘリコプターで45分の下田、その先には伊豆七島がある。このロケーション、実はアメリカ・マイアミにとても似ているという。言い換えればクルーザーの"遊び場"としてのポテンシャルが極めて高いということでもある。安田造船所がここ数年「下田ランデブー」と銘打ったクルーザー、スーパーカー、ヘリコプターの集う豪華なイベントを開催しているのも、それが理由である。
 
安田造船所の本社がある、羽田空港にほど近い京浜島には既にギガヨットの係留所が設けられつつある。そこから二町谷へ行くもよし、下田へ向かうもよし、そういった体制が静かに構築され始めているのだ。
 
自らを「戦略を持ったメディア集団」と位置づけ、ブルーオーシャンを狙うのではなくブルーコーブ(入り江)を目指すとも語っている野澤氏。最近では、人気YouTuberでアドテク企業である「AzuRo」代表の岡ファビオ氏と新会社を設立した。

元サッカー選手で実業家のダ・シルバ・ファビオ・岡氏と。インターネットを活用したインフルエンサー・マーケティングの重要性を感じていたことで合意。ブラジル出身でポルトガル語が堪能なことも、これからのグローバルビジネスに有利なことは間違いない。


「弊社の顧客分析をすると中心層は55歳で、そこは強くグリップもしています。ただもう少し若い年齢層へのアプローチは既存の手法では不十分であり、ネットを活用したインフルエンサー・マーケティングの重要性を感じていました」
 
野澤社長は安田造船所を率いるグローバルビジネスマンだが、もはや船の人でも、車の人でもない。店舗やリゾート施設といった物理的アプローチに、インターネットを活用したメディア戦略を加えていく、そんな新しいカタチの"メディア人"を目指しているのだ。

文:古賀貴司(自動車王国) 写真:尾形和美  Words:Takashi KOGA(carkingdom )  Photography:Kazumi OGATA

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