ラリー中心のコレクションで車を崇拝の対象に│新財団の拠点がトリノにオープン

往年のラリースターでデザイナー、実業家でもあったルイジ・"ジーノ"・マカルーゾの死去から10年、その名を冠した財団の拠点がトリノにオープンした。"フォンダツィオーネ・ジーノ・マカルーゾ・ペル・ラウト・ストリカ"を設立したのは妻と子どもたちだ。車をめぐる技術革新、クラフツマンシップ、画期的デザイン、20世紀の社会に対する影響力を伝えることで、「車を崇拝の対象に高める」ことを目指している。
 
エンスージアストにとってマカルーゾは、ラリーのナビゲーター、コ・ドライバーとして最もよく知られている。1972年にはラッファエレ・ピントと組み、フィアット124スポルト・スパイダーでヨーロッパ・ラリー選手権を制し、1974年にはマウリツィオ・ヴェリーニと共に、フィアット124アバルトでイタリア・ラリー選手権チャンピオンとなった。現役引退後も、ドライビングやイタリアのクラシックカーの発展を支える組織のキーパーソンであり続けた。また、フィアット・アバルトX1/9から、マルティニカラーのグループCワークスカー、ランチアLC2まで、大量の車を収集した。
 
マカルーゾは実業家としても成功を収めた。SSIH(現スウォッチ)で重要な地位に就くと、腕時計販売会社のトラデマを設立。さらには老舗腕時計ブランドのジラール・ペルゴなどを有するソーウインド・グループを率い、グッチでキャリアを締めくくった。
 
遺族が財団を設立したのは2018年で、ラリーをはじめセミナーやワークショップなど、様々なイベントを主催してきた。そして今回、マカルーゾの故郷トリノにある拠点の改修が完成。コレクションを収蔵するほか、レストアワークショップやアーカイブ、ライブラリーも完備する。オープニングセレモニーは6月16日にオンラインで行われた。財団の会長を務める妻のモニカ・マイランデル・マカルーゾや、子どものステファノ、マッシモ、アンナ、マルゲリータに加え、ゲストとしてリッチモンド公爵、パオロ・カンタレッラ、ミキ・ビアジオンなどが出席した。
 
モニカ・マイランデル・マカルーゾは次のように語った。「フォンダツィオーネ・ジーノ・マカルーゾの貢献で、トリノを出発点にイタリアのモーターバレーが拡大し、自動車産業のランドスケープの中に新たな文化圏を形成できればと願っています。コレクションは主要な博物館や施設を訪れて、世界中にトリノを知らしめ、イタリアの車造りの文化を甦らせるでしょう」
 
2020年に予定していた財団の活動は、大半が中止を余儀なくされた。しかし、10月29日~11月1日にミラノ・モンツァ・オープンエアショーで展示をおこなうほか、2021 年はグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードを含む、多数のイベントが予定されている。12月には、世界ラリー選手権をテーマにした特別展「ラリーの黄金時代―ル・グランディ・スフィーデ」で、トリノ自動車博物館の中央ステージを飾る。この特別展は5月からヨーロッパを巡回し、デン・ハーグのラウマン・ミュージアムやブリュッセルのオートワールドを訪れる予定だ。

オクタン日本版編集部

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