フェラーリのパトカーでカーチェイスを繰り広げていた!映画のような日常

Photography:Tom Gidden


 
スパタフォーラは1970年から新米警察官ドライバーを育成する任務が与えられていたが、1977年にはイタリアのアクション映画製作会社のコンサルタントとなり、映画『Polizziotto Sprint」(邦題:フェラーリの鷹)』では、警察と泥棒のカーチェイス・シーンの制作に当たった。この映画の主人公は、もちろん黒い250 GTEを運転していた。報酬としてスパタフォーラはアウトビアンキA112を受け取り、それまで乗っていた古いフィアットA1100から乗り換えた。
 
1984年、スパタフォーラはスクアドラ・モビリ時代に乗っていた250GTEにクラシックカー・ラリー「コッパ・デッレ・ドロミテ」で再会した。誰もが驚いたのは、退役警官であるスパタフォーラが2位でレースを終えたことだった。一時期、ローマに新設された警察車両博物館に貸し出されたが、展示車両でありながらもパレードに頻繁に駆り出されていた。ある時、サンマリノに近いリミニでパレードが催された際、警察長官が自らリミニまで運転させてほしいと頼み込んだことがあった。



この時、装備されていた警察無線の電源を入れると、問題なく作動し、道中での各警察署との交信に用いたという。3999はサイレン、パトロールカーランプ、スクアドラ・モビリの装飾が許可されたイタリアで唯一の"自家用車"である。警察無線はダッシュボード内に収められたままだが、現在では使用できないようになっている。

 
1997年、フェラーリ50周年のパレードの一員として、3999はローマからマラネロまでを走破した。その12年後、カルメン・スパタフォーラが自身の父親の伝記『警察官とフェラーリ』の出版記念パーティーにおいて、3999も会場に呼び寄せた。
 
2015年、現在の所有者に売却された3999は、2016年にペブルビーチ・コンクール・デレガンスに展示されたたこともあったが、現役時代とはまるで違う静かな時間をイタリアで穏やかに過ごしている。「たいへんな時代でした」とスパタフォーラは語った。「でも暴力沙汰は限られた場面でしたし、発砲騒ぎはほとんどありませんでした。まだ交通量が少なかったローマの街中をかっ飛ばしたものですが、事故は一度もありませんでしたね」
 
フェラーリ250GTEは映画『甘い生活』にうってつけなスターだった。

編集翻訳:古賀貴司(自動車王国)  Transcreation:Takashi KOGA (carkingdom) Words:Massimo Delbò Photography:Tom Gidden 取材協力:Girardo(girardo.com )

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