夏と秋の間、美景美食の地へ AMANEMU × Porsche Panamera GTS Sports Tourismo


 
取材当日は九州地方を北上する台風がもたらした散り散りながらも巨大な雨雲による強烈な雨と、突如戻ってくる晩夏の日差しが交互に訪れる騒がしい日だった。雨の中をアマネムに到着し、印象的なレセプションに車を横付けすると、幸いにも日差しが戻ってきた。故ケリー・ヒルによる屋根2:開口部1という平屋造りのこの建物群にとっては、むしろ雨上がりのしっとりとした佇まいが相応しい。ケリー・ヒルが手掛けた多くのアマンの建築同様に、すべての棟は自然のなかに溶け込むように設計され、また多くの日本家屋がそうであるように直接的な光よりも影を生かした間接光を生かすように作られている。だからだろうか、アマネムは雨の滴でさえも日本の四季を楽しむための装置と感じさせてくれる。このレセプションエリア500kmに及ぶグランドツーリングの先にある理想の「癒し」とも言えそうだ。


 
そんなアマネムにこの春、今回の旅の目的のひとつである新たなヴィラ「ツキヴィラ」がオープンした。アマネムは現在24 室のスイートに加え、英虞湾を借景にした「ナギヴィラ」、主に常緑樹の庭と海をともに楽しめる「ソラヴィラ」、国立公園の緑の中に包まれる「モリヴィラ」があり、この「ツキヴィラ」によって4種のヴィラを有することになる。ヴィラの基本レイアウトはどれもほぼ統一されており、リビングダイニングとキッチンを中央部に、両側対称に2ベッドルームに2バスルーム。それぞれのヴィラの違いはおもに庭の広さと借景によって変えられている。中でも「ツキヴィラ」は敷地面積が1586㎡、延床面積381㎡と施設最大の広さとなり、その他のヴィラと比してさらに広く、東屋に露天風呂と内風呂を付帯させた「Onsen HANARE 」という「ツキヴィラ」にしかない施設も併設されている。アマネムはその施設に巨大なアマン・スパと呼ばれる温泉のあるウエルネスセラピー施設をもち、「パーソナル ウエルネス イマージョン」と呼ばれる、アマンのなかでも限られたリゾートでしか提供していないプログラムを実施している。



これはゲストひとりひとりの心身の状態に合わせて食事の管理からトリートメントやメディテーション、フィジカルトレーニングを一貫して行うというもので、基本的には3泊4日で組み立てられるのだが、この「ツキヴィラ」に宿泊すれば中、外、そしてスパと、温泉による究極のリラクゼーションが体現できるというわけだ。
 


このように包括的ウエルネスリゾートとしての側面をもちながら、地産地消を徹底させた食事の数々が素晴らしい。メニューは季節によって変わるものの、参考までにとご用意いただいた"伊勢志摩盛り"は伊勢海老、鮑、サザエ、カツオなどから地元でも逸品とされる答志島のトロサワラなど、伊勢志摩近郊の海の幸で贅の限りを尽くした盛り合わせ。他にも料理長こだわりの陶器にのせ、地元産の炭で焼いた雲丹とトリュフと松坂牛の3品炭火焼きなど、地域と連携した食材で「うまし国」のもてなしだ。



伊勢神宮のお膝元でいただくことを念頭にした朝食は"和箱朝食" と命名され、特製の白木の小箱に納められ静謐な面持ち。松坂牛のしぐれ煮、酸味の少ない伊勢たくあん、真珠貝(あこや貝)の貝柱のあぶり、嬉野町の豆乳を使った豆腐料理などなど。釜炊きの熊野古道米と戻り鰹のたたきのお茶漬けをいただく頃にはすでに腹九分を超えているほど。ところで今回は撮影用にヴィラならではの特別なサービスも用意していただいた。今までも隣接するネムリゾートとの連携のもと、海辺でのランチサービスなどゲストの要望に応えてきたが、これからの季節は広大な中庭で秋風とともに楽しむ「ガーデンピクニック」がオススメだそうだ。

文:前田陽一郎(本誌) 写真:高柳健 Words:Yoichiro MAEDA(Octane Japan ) Photography:Ken TAKAYANAGI

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