ジープ・レネゲードPHEVに見る「伝統と最新の融合」

Photography:Ryoma Kashiwagi


世界のトレンド「電動化」は無視できない

「ジープ」ブランドにおいて、最もコンパクト、日本で2番目に売れているのが「レネゲード」である。

現在、欧州や中国を始め環境戦略の牽引となっているのが「電動化」である。グローバルでの展開としては今後約3年間で全てのモデルを電動化することを公言しているジープだが、ひと言で電動化と言ってもBEV(ピュアEV)、PHEV、HV、そしてFCV(燃料電池車)と多彩。その中で日本におけるFCAが最初に選択したのがPHEV(プラグインハイブリッド車)のレネゲードなのである。



基本的なシステムとしては1.3リッター 直4ターボエンジンに前後2基のモーターを搭載。フロント側のモーターはエンジンに直結させることで駆動用バッテリーへの電源供給がメイン。一方リアモーターは駆動専門だ。ここまで書けば勘のいい人ならピンと来るだろうが、この車はモーターで前後独立して制御するので、ドライブシャフト自体を持たない。実際、後席を覗くとフロア中央部にある“盛り”がほとんどない。



ゆえに従来までのジープ車にあったエンブレムである「4×4(フォー・バイ・フォー)はなく、代わりに「4×e(フォー・バイ・イー)」が装着されている。これが新世代の4WDシステムであることはもちろんだが「e」の文字の部分やフロントのエンブレムにもブルーのアクセントを加えることで、さりげなく環境対応車であることもアピールしている。


2グレード構成、実は中身がかなり違う

レネゲードPHEVのグレード構成はジープファンならば名の知られている「トレイルホーク」と装備充実の「リミテッド」の2つである。

外観上の意匠の違いはもちろんだが、トレイルホークは元々ジープブランドの中でもオフロードにおける性能試験をクリアしたモデルのみに与えられる名称、実際スペックや装備で大きく異なる。



最大の違いはパワートレーンのチューニングだ。同じエンジンとはいえ、トレイルホークは最高出力132kW(179ps)/5750rpm、一方のリミテッドは96kW(131ps)/5500rpmとトレイルホークの方が36kW(48ps)も高い。

一方で最大トルクは270Nm(27.5km-m)/1850rpm、また重要なモーターに関してもフロント33.0kW(45ps)/53Nm(5.4kg-m)、リア94.0kW(128ps)/250Nm(25.5kg-m)と共通である。



また装備に関しては逆にリミテッドの方が充実している。特にADAS(先進運転支援システム)領域におけるACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)はリミテッドには標準装備、トレイルホークには“普通”のクルーズコントロールしか装着されない。



またフロント8ウェイの電動パワーシート(レザー)やシートヒーター&ステアリングヒーターもリミテッドのみの装備となる。

トレイルホークとリミテッドの価格差はわずか5万円だが、装備充実のリミテッドと動力性能&悪路走破性のトレイルホークとそれぞれの違いを明確化している。これにより価格差を縮めつつもグレードごとの訴求ポイントを変え、新規顧客の獲得も含め、裾野を拡げようとしていることが読み取れる。


文:高山正寛 Image Conceptor:柏木龍馬(SUPER FILM)

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