フェラーリ・ローマ 東京試乗記|大統領お墨付きのラグジュアリー・クーペ!

Photography: Ken TAKAYANAGI


「いい感じ!」第一印象は常に正しい。


昼間の東京・港区、六本木。間近で見るフェラーリ・ローマは、街に溶け込んでいた。装飾を思い切って省いたクリーンな姿からは、ただならぬ気品が漂っている。低めのボンネット、ロングノーズからテールまでの流れるようなラインは、ミロのヴィーナスかミケランジェロのダビデ像のような断固とした存在感だが、つい触りたくなるようなセクシーな柔らかさを兼ね備えている。これこそ、イタリア・美の遺伝子である。



62年にパリでデビューした250GTベルリネッタ・ルッソなどフェラーリのグランツーリズモを知る人ならば、新たに生まれ変わったクラシックに乗ってみたい好奇心を抑えられないだろう。エクステリアと同様、メカニックも伝統を踏襲しながら最先端にパワフルだ。3.9L・V8ツインターボエンジンをフロントミドに積んだ後輪駆動。

改良されたターボシステムの最高出力は620ps、最大トルクは760Nmだ。

そして、今日の試乗車はロッソ(赤)!知らず知らずのうちに、テンションが上がる。一見フェラーリとわからない抑制のきいたスタイリングに人知れずほくそ笑む塩梅が程よい。

プッシュ式のドアが、軽やかに開いた。途端にローマと自分の周波数が自然に合ってくるのを感じる。デュアルコックピットに滑り込むと、レザーシートにしっくりと体がはまった。自分のサイズに合わせたオートクチュールのスーツに包まれたかのような一体感だ。



「いい感じ!」

人も自動車も第一印象が常に正しい。予感はすぐに確信に変わった。

優雅に流せる街乗り。


いざ、スタータースイッチにタッチしてV8エンジンを起動し、東京タワーへ向かおう。車で混み合った東京都心では、高性能GTのパワーを享受する機会はまるでない。ところが、ラヴェルの『ボレロ』を聴いてるかのようなV8の音をBGMに、ゆったり走る景色も悪くない。ローマは街乗りのために作られたかのように流せる。



感覚に慣れてきたところで、一路、首都高から東名に乗り、青葉台の「寺家ふるさと村」に向かった。晩秋の田舎道をローマと一緒に走りたい。そんな肌馴染みを覚え始めていたのだ。

文:梅澤さやか 写真:高柳 健 Words: Sayaka UMEZAWA Photography: Ken TAKAYANAGI

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