Aims for Higher Goals. アストンマーティンの過去と未来

1913年に誕生した「パムフォード・アンド・マーティン」を起源に、創立直後にはイギリスの地方代理店権を手に入れたシンガーを用いて、毎週のようにその2気筒エンジンをチューニングしたマシンを、ヒルクライムやスプリントレースに投じていた、いわゆる小さな自動車整備工場。それが現代にまで続くアストンマーティンの歴史の始まりだ。
 
アストンマーティンとは(正確には現在の社名はアストンマーチン・ラゴンダ社だが)、当初は創立者のロバート・パムフォードと、ライオネル・アストンを示すものだったが、1915年にイギリスのバッキンガムシャー、アストン・クリントンで行われたヒルクライムなどで、マーティンがしばしば好成績を収めたことから「アストンマーティン」へと、そのブランド名は変更されたのだった。
 
それから1世紀以上の時を経て、アストンマーティンは今、次なる新しい世紀、すなわち第2の世紀を迎えている。アストンマーティンの第1世紀は、必ずしも安定した世紀ではなかったが、それに続く第2の世紀をいかに魅力的で発展的な世紀とするのか。その中長期的な計画を立案したのが、先日まで同社を率いていた前CEOのアンディ・パーマー氏によるもの。それを新CEOとしてメルセデスAMGから迎え入れられたトビアス・ムーア氏は、さらにどう進化させるのだろうか。
 
今回は、アストンマーティンの現在を象徴する3台のプロダクション・モデルを一堂に集めてみた。スーパーGT(グランドツーリング)のDBSスーパーレッジェーラ、オープンスポーツカーのヴァンテージ・ロードスター、そして2020年に最も大きな話題になったともいえる、アストンマーティン初のSUV、DBXの3モデルだ。同社にはほかにプロダクション・モデルとして、GTのDB11がラインナップされており、DBXを除くモデルには、DB11とDBSにはヴォランテ、ヴァンテージにはロードスターというオープン仕様も設定されている。さらにヴァルキリー、ヴァルハラという超高性能な限定車もそのデリバリーを控えている。ラインナップは実に豊富だ。


 
キセノン・グレーのボディーカラーで揃えられた3台のアストンマーティンは、どれもまずはそのデザインの美しさに魅了される。アストンマーティンのデザインには、何か特別な黄金比があるのか。そうとも考えさせられるほどに、そのモデルも美しく、そして走りへの期待を大きく高めてくれるのだ。


 
それはSUVとして誕生したDBXでも変わらない。SUVといえば、まずカスタマーから期待されるのは機能性であり、最近ではクーペスタイルのモデルもいくつか誕生してはいるものの、それでもこの美しい曲面を組み合わせたDBXの美しさにはかなわない。そしてなにより驚かされるのはその走りだ。SUVでありながら、あたかもスポーツカーのように正確に、ドライバーの意思にきわめて忠実にコーナーをクリアしていくではないか。
 
スーパーGTのDBSスーパーレッジェーラは、その豪快な走りが大きな魅力だ。一方ヴァンテージ・ロードスターは、コンセプトがスポーツカーであるから、やはり曲がることにかけては一流のインプレッションを演出する。それぞれの走りは別項で再度詳しく報告するが、どのモデルにもこれだけの商品力があれば、アストンマーティンの第2世紀はきっと明るいものになるだろう。この先に誕生してくる新型車にも大いに期待が持てる。

今回集めた3台の魅力を順に見ていこう。

文:山崎元裕  写真:柏木龍馬

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