Aims for Higher Goals. アストンマーティンの過去と未来



アストンマーティンがSUV市場に参入する。そのような噂が流れ始めた頃、個人的には正直なところ、あまり良い印象を持たなかった記憶がある。アストンマーティンといえば、2020年で106年もの歴史を刻んだ、スポーツカー・メーカーの象徴的存在。その伝統的ブランドが、およそ利益をするためにSUVの開発に進もうとしているとは。それはいったいどれほどに魅力的なSUVだというのか。


 
そして2020年7月、市販第一号車のDBXがウェールズに新設されたセント・アサン工場からラインオフされた時、その疑問は一気に氷解した。DBXはあくまでもSUVのスタイル、しかもSUVの世界においては他の追従を許さぬほどに美しいスタイルを持つ、あくまでもアストンマーティンのスポーツカーにほかならなかったのだ。言葉を変えるのならば、これはスポーツカーの新しいカタチ、と表現してもよいだろう。




 
美しく妖艶なボディーパネルのデザインで、時には力強さを、またそれを見る角度によっては4ドアサルーンやクーペのような美しさを感じさせるDBX。まず報告しておかなければならないのは、この造形の美しさとともに、DBXはSUVとしての機能性をきちんとそなえているという事実だろう。3人乗りのリアシートは(左右独立型の2人乗りの選択もできる)、40:20:40の分割可倒式。ラゲッジルームは632Lを確保し、かつ床面もフラットで使い勝手に優れている。キャビンの広さも、長いホイールベースと高いルーフによって、想像以上の開放感に満ち溢れている。
 


そして驚かされるのはその走り。エンジンはメルセデスAMG製から供給される4リッター V型8気筒ツインターボのチューニング版だが、このエンジンのトルク特性、そしてドライバーの意思に常に忠実な反応を見せるシャシーのセッティングが素晴らしい。DBXに流れるのは、やはりスポーツカーの血統なのだ。その誕生はライバルには大きな脅威だろう。


DBX
ボディサイズ:5039mm×1998mm×1680mm
ホイールベース:3060mm 
車両重量:2245kg 
エンジン形式:V型8気筒 DOHCツインターボ
排気量:3982cc 
駆動方式:4WD 
変速機:9段AT
最高出力: 550ps/ 6500rpm
最大トルク: 700Nm/ 2220 - 5000rpm
最高速度: 291km/h
本体価格: 2299万5000円(税込)



文:山崎元裕  写真:柏木龍馬

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事