「グランツーリスモ」向けの最新マシンをジャガーが公開「Vision Gran Turismo SV」

Jaguar



空気抵抗を最小限に抑えながらダウンフォースを最大化するという、相反する課題を同時に解決するため、SVチームはジャガーのデザイナーたちと協力し、ダイナミクスや安定性、パフォーマンス、効率を改善させる連携機能を開発した。

より大型で効率的なスプリッターがフロントアクスル上にダウンフォースを発生させ、さらにフロントバランスチャンネルの開口部が前輪の面全体に空気を送り、乱気流を減らしながら車両の後方に向かってスムーズに流れるようになっている。ホイールウェルを通過した空気もフェンダー内の排出口からリア方向へスムーズに流れる。



完璧に密閉されたアンダーボディには、フロントアクスルの後方に高速安定性を高めるためのキールエレメントがあり、空気の流れを加速させて減圧し、車体の浮きを抑えながら、大型のベンチュリを介して排出される。

「Vision Gran Turismo SV」のために開発された最も効率的なエアロパーツに、「XJR-14」などジャガーのDNAを受け継ぐ耐久レーシングカーにインスピレーションを受けて開発されたデプロイアブル・リアウィングがある。コンセプトから最終デザインまで、何度も試行錯誤を経て開発されたこのウィングは、メインの固定部分が、車両の後部を包み込み、リアハンチに溶け込むように融合している。

このウィングは、ボディワークの不可欠な要素としてデザインされており、耐久レースに必要な空力性能も備えている。必要に応じて2つの可動式セクションは、必要に応じて速度が上がると自動的に上昇してダウンフォースを発生させ、空力抵抗を抑える状況下では規定の位置まで下降させる。

その結果、空気抵抗係数(Cd値)は0.398と、レーシングカーとしては圧倒的に低い数値を実現しながらも、483kg/200mphのダウンフォースを発生させる。

ジャガーSVのエアロダイナミクス担当シニア・エンジニアであるマイケル・オリーガンは次のように述べている。「すべての空力特性は、最先端の計算流体力学解析を用いて入念に最適化されています。これはジャガーのレーシングマシン『I-TYPE』などの、現実世界でのプロジェクトとまったく同じ方法で行われました。この短期間で、『Vision Gran Turismo SV』を現行の耐久レーシングカーと同水準のパフォーマンスを持つ、信頼性の高い電動レーシングカーに仕上げられたことをとても誇りに思います」

ジャガー・レーシングのエンジニアは、6シーズンにわたって「I-TYPE」の開発をしてきた知識と経験をすべて注ぎ込み、「Vision Gran Turismo SV」向けに4つのモーターを採用したフル電動駆動システムを開発した。

作業は主に2つのプロジェクトに分かれおり、ひとつは、フロントアクスルに2つ目の300kW/407psのモーターを搭載して高出力とトルクを実現すること、次により大きな負荷に対応するために温度制御システムを改良し、耐久レース中も長時間の高速走行と加速性能を維持できるようにすることだった。


オクタン編集部

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事