世界を舞台に戦うレディの素顔 いまもっともF1に近い女性ドライバーにインタビュー



「身体を鍛えることは私にとって食べることと同じ"Fuel"。レースのためにすべての時間を費やすのはプロとして当たり前」とタチアナ。ホテルはジムの環境で選ぶ。筋肉は1~2日でやらないと落ちてしまうといい、維持するために欠かしたくないのだ。でも一番のトレーニングはマシンに乗ること。もっと身体を鍛えたいが何よりも足りないのは経験だ。第5・6戦の鈴鹿戦は土日で2レースが開催されるため「コース自体は最も過酷ながら、今日よりも明日、もっと良いレースができるはず」と期待している。
 


ところで"食べること"もレーシングドライバーである彼女にはこだわりがある。「自分の身体が楽だから」という理由で食事はビーガン。魚とお米が大好きだというから美味しいお寿司は彼女にとってご馳走なのだ。


 
タチアナが「ここが世界一美味しい」と言う『SUSHI B GINZA』は銀座三原小路にひっそりと店を構える。パリにも出店しておりミシュラン一つ星を4年連続で獲得した名店だ。そんな寿司店もスリーボンドの系列だというから筆者も驚いた。もとは同社がお客様との会食などにも使えるように、つまり限られた方しか訪れることができないお店としてオープンしたそうだが、現在は誰でも訪れることができる。


 
スリーボンドは工業用シール剤や接着剤の開発/ 供給を主軸とし、製品は自動車のエンジンのシール剤などにも採用されている。企業活動はエネルギーのロスを防ぐ取り組みのほか、ゴルフや野球、そしてモータースポーツへの支援も長らく継続的に行っているそうだ。なかでも若手ドライバーの育成を念頭に置いたレース活動では後に有名選手となる国内外のドライバーを数多く輩出してきた。タチアナがチームに参加することについて「良いんじゃないか」と賛同したのは豊富なレース参戦経験と方向性の一致によるものだったのだ。

「日本語でいう"縁"というものでしょうか」とタチアナ。アスリートを育てる、女性のバックアップにも非常にポジティブなこのチームで走ることができて良かった。お互いこれからもっといい関係でプロモーションができるように努力したいと彼女は言う。
 
世界中の日常すら混乱した2020年。この記事が掲載されるころ、すべてのレースシーズンを終えたタチアナは家族の住むコロンビアか生活拠点を置くスペインでこの一年をどう振り返るのだろう。


Restaurant Information
良質の素材と卓越した技術を隠れ家的な空間で味わう

オープン当初はごく限られた人向けの場であったが、2017年秋より一般営業を開始。その本格的な江戸前鮨のDNAが評価され、フランス・パリ店は4年連続でミシュランの星を獲得している(2020年現在)。銀座中央通りから一本入った路地にあり初めて訪れる際には少々わかりづらいため、お店の場所については予約時にお問合せを。
SUSHI B GINZA
〒104-0061
東京都中央区銀座5-9-62F
TEL: 03-6274-6407
定休日 : 第1・第3土曜日、日曜日



女性初のスーパーフォーミュラドライバーとして注目を集める タチアナ・カルデロン

欧米でフォーミュラレースの経験を積み、2019年には女性として初めてF2に参戦する。2020年にはスリーボンド・ドラゴコルセからスーパーフォーミュラに初参戦しながら、アルファロメオ F1チームの開発ドライバーも務め、さらにELMSにも参戦中。世界を舞台に活躍している注目ドライバーだ。1993年生まれ、コロンビア出身。

文:飯田裕子 写真:前田晃(MAETTICO ) Words:Yuko IIDA Photography:Akira MAEDA(MAETTICO)

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