オーダーメイドで仕上げていく「紳士の銃」

ホーランド&ホーランドは銃だけで無く、最強の弾、700ホーランド&ホーランド、ニトロマグナムというものを開発した。これは1発で像を仕留められる最強のもの。そのライフルはベルギーのエングレーバーによって芸術品にまで高められている。バッファローなどを仕留めるハンティングは特にビッグゲームと呼ばれてヨーロッパで流行っている。

英国の紳士のスポーツというとハンティングが欠かせない。個人で行くこともあるがゴルフのように親交を深める大事な手段でもある。イギリスでの人気のハンティングはキジなどの鳥を散弾銃で仕留めるというもの。そこで使われるのはもちろん散弾銃だ。紳士の使う銃はオーダーメイドとなる。

メーカーのことをガンメーカー、銃砲店はガンルームと呼ぶ。以前王室御用達のガンメーカーを訪れたときに、エリザベス女王陛下の散弾銃がメンテナンスでそこに保管されているのを手に取り構えさせてもらった。その使い込まれた銃はお飾りで銃を持っているのではなくかなり撃ち込んでいるのがわかった。そして何より陛下は小柄な方だとわかるのだ。それは銃がそのオーナーの体に合わせて作られるからだ。


今回紹介するガンメーカーはホーランド&ホーランドというガンメーカー。ここで銃をオーダーするとしよう。散弾銃は水平二連あるいは上下二連。つまり一回に2発しか撃てない。日本でも所持が可能だ。銃のモデルをカタログから選びストックを体に合わせて製作してもらう。その手順はオーダーが決まったらまずロンドン郊外のホーランド&ホーランドの射撃場を訪れインストラクターに自分の射撃を見てもらう。

ウェアーのコーナーを抜けるとガンルームがある。

スタイルはブリティッシュトラッド。もちろんオーダーメイドも可能。

もちろん初心者ならばそこで射撃を学ぶことができる。そこでは正しい射撃のフォームを教え込まれる。変な癖を正しいフォームが身につくといよいよ採寸だ。専用の採寸ができる銃で各パーツの長さや角度などを採寸していく。ここで“不幸にも”手は右利きでも効き目が左の場合(こういうシューターを“不幸なシューター”と呼ぶらしい)右手で構えてストックは左肩で、ストックのほお付が左側に来るようにストックをくねったものにしなければいけない。ストックは削り出しなのでその分倍の厚さの木材を必要とするのだ。

シンプルだが美しい仕上げの1挺。


まずは悪い癖を直すところから始まる。鳥の代わりにクレーを射撃する。いくつものステージがあり横を通り過ぎていくもの、頭の上をかすめていくもの、ハンティングで考えられるいくつかのシチュエーションで射撃をしていく。

採寸が終わるとカタログから選んだモデルの仕様を決めていく。仕上げの色や彫刻そしてストックの木材。木材は木目の美しいものを選ぶ。この木材安いものは数万円から1千万円位まである。全て手作りとなるがベースとなる銃の価格はおよそ800万円くらいからそれに諸々仕様を決めていくと大体その倍になる。2発しか撃てないので、ハンティングに出かけてその時にたくさんの鳥が飛んできたらそれでは足りない。すぐさま荷物持ちがもう一丁を手渡し射撃を続ける。というスタイルから2丁同じものをスペアーとしてオーダーする。これをペアガンと呼び、ひとつのケースに収めて納品される。通常オーダーから手渡しまで半年。しかしヨーロッパで人気のハンティングで2、3年待ち。運が悪いと6年も待たされるほどだ。

専用射撃場、シューティング・グランドにあるメジャー用の銃。グリップ廻りが可動して最適な位置を決めることが出来る。


年末はちょっと毛色を変えてハンティングの華麗な世界をご紹介していこうと思う。次回は実際にアトリエでの制作風景を見ていただこうと思う。

オクタン編集部

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