職人たちが作り上げていく 銃のオーダーメイド製作アトリエ

これは19世紀のホーランド&ホーランド製のピストル。注目して欲しいのは 重心。ダマスカスと呼ばれるモノで、この当時はパイプを作る技術が無く金属の棒を熱して芯に 叩いて巻き付けて作っていた。その時の巻き付ける金属棒で編み込んで叩いたりしてこの文様が着く。文字にすることも出来るほどその技術は高かった。

ここはホーランド・ホーランドのロンドン郊外にあるアトリエ。ここでは職人たちがそれぞれの部署で銃を作り上げていく。銃身、バレルの専門、メカニズムを組み込む、各パーツをすり合わせる、木工職人などなど。命中制度に直接関わるバレルは上下にしても左右にしてもどちらのバレルを通してもきちんと狙い通り発射できるようそれぞれのバレルをまず調整して、そのバレル同士を接合させる。

銃の命である銃身も自社で加工している。多くのガンメーカーは銃身は外注なのだ。

19世紀からの老舗で手作業で作られるとは言え、現代の設計はコンピュータによるものなのだ。

1本づつのバレルを接合する。それぞれ狙い通りの所に当たるようにしなければいけない。

メカニズムの方は最高の引き金、トリガーフィーリングを得られるように調整されていく。それぞれで組み上げられたパーツは接合部が見えないようにフィッティングをしていく。それらを止めているネジも段差や隙間などがない程にフィッテしていくのだ。それは木製のストックも同様で大まかに削っていき、接合部分に煤をつけてぶつかっているところを確かめながら削っていく。

もちろん寸法通りに出来ているか?正確な角度で取り付けられているかをチェックする。

フィッティングのためのすすを付けているところ。金属同士も、木製と金属の合わせ面もこれでチェックする。

彫刻、エングレービングももちろん好みのモノをオーダー出来る。オーナーの顔や、愛犬、あるいは物語をテーマにしたものまで。でも一番難しいのは愛犬だという。写真からは伝わらないオーナーと愛犬の深い絆があるため表情を表現するのが難しいとのことだ。

木製のパーツと金属パーツもまるで一体のようにフィッティングしていくのだ。ここで試射をして問題なければ彫刻や表面処理を。木製のストックはニスを塗るのではなく、オイルを塗っては乾かし、塗っては乾かしそして磨き込まれていく。そしてようやく銃は完成する。なかなかイメージが湧かないと思うので、この回は写真をじっくり見ていただけければと思う。さて、ここまで引っ張って次回はハンティングに出かけるときに必要な車の登場です。お楽しみに。

Photography & Words: Tomonari SAKURAI

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事