何台用意されていた?『ミニミニ大作戦』に登場するミニの真相!

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その映画は3台のミニ・クーパーがパラッツォやショッピングモールのガレリアを通り、トリノの屋上を抜けていく15分間の逃亡劇でクライマックスへの盛り上がりを見せていく。ミニ・クーパーたちはショッピングアーケードをくぐり、階段を駆け降り、橋の下のせきから下水管を抜け、警察仕様のアルファロメオ・ジュリアからの追跡を受ける。逃亡劇が繰り広げられる頃には、ランボルギーニ・ミウラのアルプスからの滑落は遥か昔のように感じられる。

つい最近まで何台のミニが撮影で使用されたか、はっきりと知られていなかった。筆者はフランスのワインセラーで、1969年から手をつけられていない書類やノートなど当時の撮影クルーの所持品を発見したのだ。これらの資料から、6台(3台×2セット)のミニ・クーパーがスタントに使用されたことが明らかになった。6台ともBMCから提供されたもので、撮影後すぐに返却されたようだ。プロデューサーのマイケル・ディーリーはもっと多くのミニを使いたがったが、イギリス自動車業界の巨人は当時プロダクト・プレイスメントの力を見誤った。「『ミニミニ大作戦』はミニをムービースターに仕立て上げるプロジェクトだったのに!BMCの関心のなさには驚いたよ」

1968年までにミニ・クーパーMk2が最盛期となったが、生産終了を間近に迎えたミニ・クーパーMk1が提供されることになった。6台はすべて、撮影の準備のためブレナム・モーターズのデイヴィッド・サラモーネへ送られた。赤と白の車はオースチン・ミニで、青の2台はモーリス製であったがモーリスのバッジだけをオースチンに変え、6台は外見上同じとなった。6台の英雄的なミニのナンバープレートは以下の通り、NOC 72F、NOC 73F、NOC 74F、NOC 75F、NOC76F、MON 795F。映画の話の流れ上、同じ色の2台には同じナンバーの架空のナンバープレート、HMP 729G、LGW 809G、GPF 146Gがそれぞれ割り当てられた。'G'のプレートが使用されたのは1969年夏の映画公開と時間軸を合わせるためである。



スタントドライバーのレミ・ジュリエンヌは改造をいくつか提案するために、ブレナム・モーターズを訪れた。「レミからはカーペットを含む、インテリアを外してほしいという要望があった。弾みで外れてドライバーめがけて来るようなものは外してくれと」とサラモーネは回想する。かつてサラモーネは大きなサンプガードの取り付けの際に、ミニのスタントでどんなことが起こるか思い知らされていたため、「これらの改造がなければスタントドライバー達は無事では済まないだろう」と思ったのである。

Words:Matthew Field(訳:髙野健人)

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