太平洋を3度も往復したダットサン!愛情を注がれてきた至極の240Z



そして、現在日本国内で売りに出されている注目のフェアレディZがある。熱狂的なS30Zマニアの現オーナーが調べたところ、1970年3月というごく初期に生産された北米市場向けの左ハンドルモデル、すなわちダットサン240Zである。

アメリカで研修していた頃にフリーウェイを行き交うぼろぼろのダッツン・ズィーに改めて惚れ込んだという現オーナー。帰国後の1999年に日本の有名ショップでこの個体に巡り会った。ほぼ30年間をロサンゼルス近郊のオーナーの元で過ごしてきたというオリジナル度の高い個体だったため、フルレストアして乗り続けることを決意。現在に至っている。



オリジナルにこだわる現オーナーゆえ、この個体も貴重な初期型の特徴をほとんど完璧に残している。違いといえばボディカラーとタイヤ&ホイール。元々この個体の色は初期の2年間のみ、しかも輸出仕様にしか設定されていなかった「ユニバーサルブルー」(カラーコード903)だったが、日本の紫外線の元で見るとあまりに地味だったため、R34スカイラインGT-Rに採用された現オーナーお気に入りの色「ベイサイドブルー」にペイントしてもらったという。

また、タイヤ&ホイールについてはノーマルサイズのタイヤとスチールホイール&Dマーク付きホイールカバーも付属する。70年代に流行ったスタイルのアロイホイールをそのまま楽しむもよし、オリジナル状態に戻すもよし、ついでに元色にリペイントするもよし。その他は完全にオリジナルコンディションといってよく、なかでもユニークなメタリック調のインテリアは貴重。シートとドアトリムはレストアされたものだが、その他は当時物なのだそう。(詳しい仕様とセールスポイントに関しては、オーナーからの“ダイレクトレポート”コーナーを参照)



さっと試乗してみると、エンジンの目覚めもスムースで非常に乗りやすく、またボディやアシもしゃきっとしていた。当面、何の不安もなく乗っていけそうな感じがひしひしと伝わってくる。現オーナーの手入れが行き届いている証拠だ。

注目したいのは、この個体、過去になんと三度も太平洋を往復した経験があるということ。一度目はもちろん新車で輸出され日本へ逆輸入されたとき。そして二度目(2000年)と三度目(2004年)は現オーナーの手によって毎年アメリカで開催されているZCONに参加したとき。その二回ともオリジナルコンディションの高さが認められコンクールでクラス優勝を獲得している。



ちなみにボディカラー903とブルーインテリア(輸出向けは黒と茶、青があった)の組み合わせも相当にレアなのだそう。ダットサン240Zといえば過去のオークションでHLS30-04684という1970年4月生産の緑ボディ×茶内装の個体が、奇跡のプリザベーションということもあってか31万ドルで落札されている。Z432Rを除けば史上最高額だった。初期型のレアカラーコンビであるという本個体もまた将来に向けて大きな魅力の持ち主だといえる。


車両情報提供:CARZY (文:西川 淳 写真:吉見 幸夫)

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