北へ、南へ、シトロエン2CVと30年│第17回 2CVのカーシェア? その2

2CVを「Anyca(エニカ)」でシェアするにあたって最大の懸念は事故や故障だった。今では少数派となってしまったMT車だということに加えて、左ハンドル、変なシフトレバーなどなど、普通の車とは違うことがたくさんある。

そこで車の紹介文に一工夫をすることにした。前半はいかに2CVが素晴らしい車かをアピールするものの、後半でそれとなく「運転が下手な人には厳しいかもよ」ということを嫌みにならない程度に付け加えることにした。具体的には以下のように書いてみた。

「なお、操作方法などが独特ですので貸出当日に同乗の上での10分ほどの習熟運転をお願いしています。マニュアル車経験の浅い方や運転があまりうまくない方は、お断りすることがあります。ご了承ください。またクーラーはついておりませんので真夏の日中の運転はおすすめしていません。気休め程度のヒーターはついていますので厚着をすれば冬場でも大丈夫でしょう。そのほかETCは付いていますが、それ以外の便利装備は無いものだと思ってください。」

どうだろう、温厚な人柄で知られる筆者としては最大限に厳しく書いたつもりだ。もう1点、工夫したのは料金設定である。エニカの料金帯を大雑把に分類すると1日3000〜4000円前後で借りられるお手軽な国産車ゾーン、6000~8000円程度の新しめの国産車・輸入車ゾーン、そして1万円以上の高級輸入車・旧車ゾーンの3つに分けられる。料金設定には車両購入価格やメンテナンス費用などをベースに上限があるので、好き勝手な値段を付けられるわけではないが、なるべく高めに1万2500円としてみた。

この価格に契約料100円が加わり、エニカに手数料10%を渡すので手取りは1万1350円となる。洗車の手間や、貸し出し・引き取りの拘束時間を差し引いても、まあ割りの良いバイト(?)であることには間違いない。ちなみに借りる方は1万2500円にプラスして手数料と保険料金(損保ジャパンの場合、1日2000円)が別途必要になる。

2021年1月現在、エニカで借りることができるメーカーの一例( https://anyca.net/maker )。シトロエンも23台、さらに車種別ではわが2CV以外にGSも登録されている。以前は2CVがもう一台、DSも見かけたことがあったのだが… 

筆者が登録をした2017年春の時点で2CVはもちろん他には1台もなかったから、自分がつける値段が相場形成に影響を与えるわけだ。後々、他の2CVオーナーから「安売りしやがって!」と叱られない程度の価格設定にはなったのではないだろうか。

ちなみにエニカにはオーナー検討者向けのシミュレーター(https://anyca.net/owner#about_anyca_owner)がある。車種や所在地を入力すると1カ月間に見込める受取額を過去のデータなどから算出してくれる。



残念ながらシトロエンもルノーもシミュレーターにデータがないので、オクタン日本版編集部の社用車である2018年マツダCX-8で試算してみると、渋谷区で貸し出した場合は1万7762円となった。6000円で貸して月に3日程度という計算なのだろうか。しかし、同じCX-8を横浜市で貸し出した場合はなんと6641円に激減する。



車種による違いを見るために2018年トヨタアルファードで試算してみたところ渋谷区の場合はなんと5万2879円!そして横浜市だと1万9772円である。2018年前後のアルファードの都内のシェア料金は1万円前後なので月に5日程度稼働する計算のようだ。こうしてみると車種による違いも貸し出すエリアによる違いも結構大きいことがわかる。そしてアルファードが新車販売ランキングで上位に来るのも納得だ。

エニカが縁で知り合ったHンダさんの素敵な初期型BXは、2019年9月に行われたシトロエン100周年イベント「シトロエンセンテナリーギャザリング」の展示車両として登場してもらった(写真:オクタン日本版編集部)

さて、運転はちょっと難しいよ、お値段も安くはないよ、そんな高飛車な態度で臨んだ筆者の2CVだが、しかしすぐに借りたいという若者(仮にここではHンダさんとする)から連絡が入った。どんな人かと思っていたら、その彼はシトロエンBX、しかも初期型ボビンメーターの16TRSに乗ってやってきた。話を聞いてみるとお金をいただくのを躊躇うくらい共通の知り合いが何人もいるコアなシトロエン乗りだった。

彼女と一緒に来たのでドライブにでも出かけたのかと思ったら、後日、知り合いのシトロエン専門店から「マユミさんの2CVに乗って来たカップルがいたよ〜」と連絡が入った。やはりシトロエン乗りは老いも若きもちょっとオカシナヒトが多い(笑)。

どうやら2CVはオカシナヒトを惹きつける力があるようで、その後も続々とオカシイ、いや楽しい人(?)たちと出会うことができたのだが、続きはまた次回に!
 

文・写真:馬弓良輔 Words & Photography: Yoshisuke MAYUMI

文・写真:馬弓良輔 Words & Photography: Yoshisuke MAYUMI

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