実際にはもう「ヤング」ではない!「ヤングタイマー」で旅に出たら

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「サン・モリッツで開催された2020年のベルニーナ・グランツーリスモを取材するという完全なる言い訳のもと、私は愛車であるメルセデス・ベンツ SL500のステアリングを握った。かの素晴らしいマロヤ峠を登る前に、気持ちの良い秋晴れの中、湖のほとりのワインディングロードをで3時間にわたってドライブできるとは、なんと幸せなことだろう!

このSL 500の5.0リッター V8エンジンは、たいてい気だるいものであり、ギアシフトを’D’のままにしておくことをオススメするが、マロヤ峠があまりにも魅力的だったため、私はギアボックスで“遊ぶ”誘惑にあらがうことがこできなかった。ギアを操作するとすぐにこの洗練されたコンバーチブルが、いかにスポーティーな車であるかを思い出した。’S’(各ギアに長く留まり、3速より上にはいかない)もしくは’L’(Sと同じだが、2速より上にはいかない)を選んだ場合、エンジン音が変化し、スロットルにより反応しやすくなる。テールが振れやすくなるが、まった慌てることはない。舵角を調整することなく、スロットルを少し上げる増やすだけで修正できるからだ。

この車の欠点はたった2つしか欠点がない。ひとつはタイヤが非常に細く、扁平率が高いため(205/70 x 14)反応に少し時間を要することである。タイトな狭いコーナーでスロットルを踏み込んだら、いとも簡単にタイヤスモークのが発生するだろう。このサイズのミシュランのタイヤセットを購入したことがある人なら誰でも知っていることだが、費用がかかるのはもちろんのこと、道路脇に潜んでいる警官の注意まで引くことになってしまうのである。



ポルシェ911の大群の中に車を停めて、サンバイザーを留めておくプラスチッククリップのひとつが割れているのに気がつくまでは、すべが完璧だった。ダクトテープで貼り付ける以外に対処方法はなく、機能はするもののもちろんまったくもってクールではない。結局、イギリスのSL専門店SL Shop(www.theslshop.com)にパーツを注文し、それ以来正しい青色のクリップになっている。

ふたつめの喜ばしくない出来事は、スイスにあるイタリアの飛び地リビーニョで、SLのガゾリンタンクを満タンの80リッターにしたときに起きた。ここではガソリンが免税対象であるためヨーロッパでガソリンの値段が最も安く、1リッター当たり0.7€(約88円)である。1リッターあたり1.1€(138円)も節約できて上機嫌だったが、オドメーターが機能しなくなったことに気づき、すぐに幸せな気分は一変した。おそらくプラスチックのギアが中で壊れてしまったせいなのだが、それを交換するためにはインパネ周りの計器を分解する必要がある。つまり、ステアリングホイールを外す必要があるのだが、エアバッグがついているためもはや自力で直すことは不可能であった。

しかしこの作業をするのは、夜間の運転時にメーターパネルの照度調整をするパネルライトレオスタットを掃除するいい機会にもなった。

古くなり汚れると機能しなくなるため、去年の夏からメーターパネルの照明はない。これらの問題について考えるうちにあることに気が付いた。私のSL500はいわゆる「ヤングタイマー」と呼ばれる車であるが、実際にはもうそれほど「ヤング」ではないのである。すでに38年も経っており、私が所有してからは20年だ。誰よりも長くこの車の面倒を見てきたという、妙な満足感に、私は浸っているのであった。

オクタン編集部

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