この車がエンツォになっていたかも!? フィオラヴァンティフェラーリF100/F100r

fioravanti

フェラーリF40がフェラーリの創業40周年を記念して制作されたというのは有名な話だ。F40以後も節目の年になるとスペチアーレと呼ばれる特別なモデルが発表されるようになった。しかしフェラーリの創業者、エンツォフェラーリのアニバーサリーイヤーにも特別なモデルが発表されたことがあるというのはあまり知られていない。

1998年のジュネーブモーターショーでエンツォフェラーリの生誕100周年を記念して発表されたのがフィオラヴァンティフェラーリF100だ。過去に365GTB/4や512BB、F40など数々のフェラーリのデザインを手がけてきた巨匠レオナルド・フィオラヴァンティによってデザインされた車だ。



F100は比較的コンパクトな車で、クラシックフェラーリの要素とモダンフェラーリのスタイルをうまく組み合わせたデザインになっている。エッグクリエイトグリルやラウンドテールライトなどはまさにフェラーリのヴィンテージモデルに見られるものだが、全体的なデザインは非常に滑らかかつアグレッシブでモダンフェラーリのスタイルとなっている。ルーフの両端には二つのスクープが装着されており、さらにテールにも大きなウィングが取り付けられた。





この車は発表時はモックアップだったため実際に走れるエンジンは搭載されていなかった。しかし設計上はフェラーリのF1に搭載されている3リッターV10エンジンをそのまま搭載できるようになっていたのだ。ギアボックスも同様にF1マシンのものと同じものが装備されている。

インテリアは非常に特徴的で、まさに未来の車のようであった。シフトチェンジはステアリングの裏のパドルで行うため、センターコンソールはシンプルな作りになっている。バケットシートは脚を支えるようなデザインとなっており、支える部分の延長部分がアクセルペダルとブレーキペダルを兼ねている。



2年後のトリノモーターショーではこのF100の進化版であるF100rが発表された。F100rはF100のロードスターバージョンで、ウィングやルーフのスクープが省略されたり、フロントガラスがより曲線を描いたデザインになるなどいくつかの変更点があった。さらにバックミラーの代わりに小型のカメラを採用するという当時としては斬新な技術も投入された。



最終的にF100もF100rも正式にフェラーリに採用されるまでには至らなかったが、F100が発表されてから10年後に発表されたフェラーリSP1はフィオラヴァンティによってデザインされたモデルだ。SP1は著名な日本人フェラーリコレクターがフェラーリに依頼して製作されたワンオフモデルである。SP1も非常にエレガントなスタイルであり、フィオラヴァンティのデザインの力はまだまだ衰えていないことがはっきりと分かる。今後もしフィオラヴァンティが新たにフェラーリのデザインを担当することがあるとしたら、どんな車が出来上がるのか想像するだけでも楽しみだ。

オクタン編集部

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