日本にもあった!圧倒的な存在感を放つ超希少なジャガーEタイプ

CARZY



そして、現在シリーズ1のEタイプが日本で売りに出されている。一見、通好みのオパレッセント・ブロンズに塗られたシリーズ1のレフティ(左ハンドル)・ロードスター(#63409)である。つまり、アメリカ市場向けに輸出された一台。内装はレッドで、ボディカラーと素晴らしいコーディネーションをみせている・クラシックカー・メンテナンスの名手、ガレージ・イガラシによる外装リペイント(三年前)が施され、幌やインテリアはオリジナルを保っており、見映えはパーフェクト。クラシックモデルに重要な「崩れそうにない存在感」がオーラとして漂ってくる。



しかし、この車の何が凄いかといえば、Eタイプマニアが見れば狂喜乱舞間違いないというほどの61年超初期生産激レア仕様ということ。Eタイプはデビュー直後から、特にアメリカ市場における反響がすさまじく、大量のオーダーが入ってきた。そのため、当初の設計に対する市場の声(マーケット・フィードバック)を聞き入れた改良や、生産効率を上げるための工夫を割と早期から採りいれることができたのである。結果、最初期のオリジナルモデルは後にかえって珍重されることになる。この個体もそのうちの一台なのだ。



マニアはそんな最初期シリーズ1のことを「フラットフロア」と呼ぶ。フロアがフラットになっており、脚の置き場に困るため若干乗りづらい。それゆえ早々に改良が加えられた結果、それ以前の個体が貴重になったというおもしろい例である。フラットフロア以外にも最初期モデルに特徴的で分かりやすいパートとして、「溶接ルーバーフード」や「アウトサイドボンネットロック」がある。これらの特徴を備えた個体の生産台数は、4万台も生産されたシリーズ1のなかでわずか500台程度といわれている。アルミボディのライトウェイト個体など特殊な例を除いて、最もコレクタブルなシリーズ1だと評価されて当然だ。



当時、ほとんど全てが北米マーケット用に造られた左ハンドル仕様であったため、マニアの間ではさらに本国仕様の右ハンドル個体が珍重されている。左ハンドルの当個体#63409は、1990年代に日本で開かれた伝説の名車オークションにて神戸のオーナーが落札。その後、静岡へと嫁ぎ、ガレージ・イガラシへとやってきた。ジャガー・ダイムラー・ヘリテージトラストによる認定証も取得済み。1961年8月22日に生産され、9月1日にニューヨークへと旅立った個体であると証明されている。

他のシリーズ1に比べて倍ほどするが、アメリカ市場での高い評価を考えると決して高過ぎるということもない。Eタイプで最も将来性のあるシリーズ1「フラットフロア」OBLロードスターを日本で現車を確認し購入できるというまたとない機会だといえるだろう。


車両情報提供:CARZY(文 西川 淳、写真 奥村純一)

車両情報提供:CARZY(文 西川 淳 写真 奥村純一)

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