真っピンクのレーシングマシン!「THINK PINK」の意味とは

RM Sotheby's

1960年代初頭、アメリカのSCCAサーキットでは、ドナ・メイ・ミムスほど記憶に残る存在はいなかった。"ピンクレディ"と呼ばれていた彼女は女性レーシングドライバーであり、ヘルメットから靴まで全身をピンクでコーディネートするだけでなく、車もピンクにしてレースに参戦していた。

その姿は強烈なインパクトを与えていたが、彼女は姿だけではなかった。1963年 SCCA クラスHではピンクの"バグアイ"(オースチン・ヒーレ― スプライト)を操り、SCCAの最初の女性チャンピオンとして優勝を果たすほどの実力を持っていたのだ。彼女が乗るマシンの後ろに書かれた「THINK PINK」というのは、"女性に追い抜かされたんだからね"というメッセージを男性ドライバーに伝えることを意図していたといわれている。



彼女が栄光を共にしたこのバグアイは、2016年にオークションに出品されていた。ポリオワクチンの開発者であるジョナス・ソーク博士によってアメリカに輸入され、ピッツバーグ大学で彼の通勤車として使用されていたものをミムスが引き継いだ。

1963年のクラス優勝を果たした後、バグアイはロス・ハリスに売却され、その後1971年にジョン・フランシスに売却されている。ジョン・フランシスはこのバグアイをオリジナルの姿に戻し再びレースに参戦させていたそうだ。1987年に、サーキットからは引退している。



2005年に、バグアイはミズーリ州に住む人物によって購入された。レストアをおこなっていたところ、ピンクのペンキの痕跡を見つけたそうだ。彼はそのヒストリーを調べ、ミムスがレースに参戦させていたときの状態に戻した。



その後、実業家のクレイグ・マカウが購入し、路上での運転をより楽しくするために別のモーター、ギアボックス、リアエンドが取り付けられた。オークションでは、レース仕様にしたい場合のためのモーター、ギアボックス、ドライブシャフト、トノカバー、ドキュメントなども含まれていた。

モータースポーツ史において重要な意味を持つ、このピンクの一台はおよそ600万円で落札されている。

オクタン編集部

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事