22歳の誕生日にプレゼントされたのは世界に一台のマスタングだった !?

Photography:Max Serra



「当初の整備段階で、エンジンをはじめとしたメカニカルな部分はオリジナルが保たれており、錆もなく状態が良好だったことを把握していました。そこから20年、白いマスタングは地元で乗り回すだけでなく、海外のクラシックカーイベントにも遠征しました」さすがに20年も経つと、フルレストアをしたくなるものだ。

「ボディの塗装にヤレが目立ってきた2017年に、またウィンブルドンホワイトで塗りました。ただ、ヒストリックカーとして登録する際、ちょっと問題になりました。というのも、カロッツェリアで作業がおこなわれたことを証明する書類が必要になったのです。でも、私は父から聞いた話しか知りませんでした。そうこうしているうちに、ザガートのマーケティング&ヘリテージのマネージャーをしている、パオロ・ディ・タラントを探し当てました」



「彼はクラシックカーに造詣が深く、私のマスタングの生い立ちやボディカラーについて尋ねてみました。3日後には私が父から聞いてきたことを裏付ける書類と、2枚の写真が送られてきました。写真は私のマスタングと、シェルビー350GTザガートで両車、濃いめのグリーンで塗られていました」
 
自身のマスタングの生い立ちを探るにつれ、新たな情報も発掘できた。カロッツェリア・ザガートが健在だった頃、実現こそしなかったが少ロット生産を目論み、シェルビー350GT(シャシーナンバー6S761)も造られたことが判明した。このシェルビー350GTはスクラップされる寸前のところで引き取り手が見つかり、現在はスイスに生息している。

「現在、私はマスタングをクラシックカーイベントに参加するときに乗っています。父の遺産というだけでなく、自分自身のクラシックカーへの情熱を感じさせてくれるという点でも大切な車です。マスタングと連れ立ってギリシャやシチリア島まで足を運んだこともありますが、とても信頼性のある車です。ブッコ氏よりも私のほうが走行距離を多く重ね、オドメーターは9万2000kmを超えたところです」

「そして、何よりも気に入っているのは、このマスタングがザガートによるワンオフだとは、よほどクラシックカーに精通していないとわからないという点です。いつか、生まれ故郷であるアメリカのマスタングの集まりに参加してみたいと思っています。マスタングはアメリカでは伝説的な存在ですが、おそらくこの車を知っている人は少ないでしょう」
 
アメリカのマスタング・ミーティングにザガートが登場すれば、リー・アイコッカもさぞ喜ぶことだろう。

編集翻訳:古賀貴司(自動車王国) Transcreation:Takashi KOGA (carkingdom) Words:Massimo Delbò  Photography:Max Serra

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