ステイタスシンボルから「買える型落ち車」へ。人気が再浮上中の軽快なクーペ

RM Sotheby's

シャンパンバーで発売されたばかりの携帯電話を使っていたヤッピーに象徴された、金がものをいう時代、BMW 635CSiは世界中で注目されていた。当時の”巨万の富”のシンボルであったが、時代は変わった。

安っぽいカメラでもなんとか映えようと、躍起な人々の絶望的な食物連鎖で転げ落ち、中古の635sは負け犬ならぬ負け車の烙印を押されてしまった。この錆びたホイールアーチの高級車が忘れ去られた頃、 635CSiはデルボーイ用のリライアント製リーガルの三輪自動車としての利点をすべて備えていた。例えばイギリスの階級への執着に困惑する外国人達(ヨーロッパ各国やアメリカ人)は、この事実に反する記事について全く理解できないだろう。

しかし重要なのは、ドイツや他人の目を気にしない国で愛されている古い車が、イギリスではまだ社会的なのけ者とされていることだ。これはとても良いニュースだ。この並外れたマシンは、イギリスではまだかなり安価なのだ。今のところは。それは、ライトタッチの天才フランス人ポール・ブラックが評した、1976年の6シリーズCSクーペ世代のデビュー当時まで遡る。



この頃の彼は、特に特徴的でもなく、肉食的で好戦的なものを作ろうとペンで戦っていた。威嚇する様な、邪悪ともいえるマシンを。630と633については、触れないでおこう。なぜなら、アグレッシブで決定的な6シリーズといえば、1978年に発表された635CSiなのだから。『Motor』誌は同車を、「特にハードなドライビング欲を満たすためだけに見事にエンジニアリングされたマシン」と評価した。

また、「 635CSiは、スポイラー、大型エンジン、5速マニュアル、強化サスペンションにより、古いCSLからの大型BMWのどれよりもドライバーへのアピールが満載だ」と付け加えた。この車は218馬力で、時速0〜60マイルは8秒以下、最高時速140マイル近くに達する。5.3リッターV12のジャガー XJSの方が速かったが、3.5リッター直列6気筒のビーエムは4.5リッターのメルセデス450SLCより速く、同じく4.5リッターのポルシェ928に少し劣るくらいだった。そう、これらは全て2 by 2のクーペである。つまり、『オクタン』読者なら皆さまご存知の通り、わがままで、自由生活主義で、最先端の独身男性を骨抜きにするための自動車業界の機具なのである。実施のところ、このBMWの装備は他のものより良質だ。

しかし、恐るべきことは、”奥様”が前席に座りたがらない、または子どもたちを後ろに座らせたがらない、という可能性が大いにある。そういった場合に635CSiは、1980年代の平均的な既婚者にとって、最強の天敵になってしまう。



今日でも、こういった”クラシック”な考え方は、いまだに存在している。それでも 635CSiが候補から外れる場合は、1984年式 M635CSiをもっとお勧めしたい。M1由来の286馬力を発揮するエンジンを持つこの車は、時速0〜100km/h加速は一瞬の6.5秒、最高時速は158マイルだ。6シリーズでは、BMW社は2 by 2のクーペを最高価格で投入するフラッグシップモデルとしてコミットしていた。ラグジュアリーサルーンの7シリーズよりも、大幅に高額であった。

メルセデス、ジャガーや他社では、サルーンがプレミアム価格のフラッグシップだった。金がものをいう時代だったので、非常に高価な6シリーズで最もいきがることができていたのだ。

販売台数は、1989年までに合計8万6千台にのぼり、以前の3.0CSの4倍以上となった。大筋でこのアグレッシブなメッセージは世界中に伝わった。ただ、ベビーシートだけはフィットしなかったようだが。


オクタン日本版編集部

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