『時代のアイコン』大きなインパクトを与えたエステートカー ボルボ240

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堅牢なボルボ240ほど大きなインパクトを与えたエステートカーは他にはない…。その魅力に心を奪われた人ならば、なおさらその意見に納得がいくだろう。この丈夫で内部が広々とした内部空間をもつ立方体は、いうなればエステートカーの定義を作り上げた車であり、おそらくその中でも頂点に君臨する車だ。文化的にも重要なボルボ240エステートは、過小評価された他の車と違い、今後も世界中で高い評価を受けることになるだろう。
 
長い年月に渡り、また現在に至るまで240エステートを基に、ありとあらゆる姿の車が生まれた。『郊外』で活躍するワゴン車やSUVが登場する以前に活躍したこの車は、今となっては太古の化石のようなものだ。

『時代のアイコン』を語るにあたって率直に尋ねるが、5つのウォッシャーと5つのワイパーを備えた車が“アイコン”とならないことが起こりうるだろうか?(オリジナルのジャガーEタイプは3つだったと記憶する)ここで、ボルボ240セダンについても触れておこう。まず、ワイパーが4つしか装備されていない。加えて、高く評価している変わった人たちは、こぞって頑丈で安価であることにしか関心がない。こんなことで、彼らがエンスージアストと名乗れるはずがない!

そもそもエステートカーのこのフォルムは、機能性を重視した結果の産物ではない。フォルムと機能性は表裏一体だ。ボルボはエステートカーの分野をリードするべく、1967年に140シリーズを発売し、最終的な販売台数は25万台以上にも及んだ。また、ボルボ240は140をモデルチェンジし、性能を洗練させた分だけ値上げして1974年に発売された。ボルボと母親たちが安全性能ばかりに目を向けていた当時、この車は実質的に世界の先端だった。細かい性能に注目が集まることはなかったが、安全面では140からさらに向上していた。あえていうならば、野生のヘラジカにとってこの車は恐怖だ。さらにいうと、高級住宅街であるパサデナでは、母親であれば240エステートを運転するべきで、さもなければ子供たちを施設にでも預けているのかと思われていた。


 
240にはエンジン、シリンダーはもちろん、十分な馬力とトルクもあったが、先述の通り細かい性能に関してはドライバーたちにとって取り立てて関心があるものではなかったかもしれない、丈夫で信頼をおけるという面では際立っていた。筆者である私は1989年製の240DLエステートを15年間所有してきたが、故障したり車検に落ちたりしたことは一度もない。 Octane Carsでこの車について記事にできるようなことは何もなかったので、お金がかかるばかりであるが。

象のように大きな車のトランクには、71立方フィートの使い勝手が良い平らなスペース、そして床下には地下室がある。一言いっておくが、地下室というのは決して冗談ではない。アンティーク・ディーラーから、廃棄処分に余計な原価をかけたくないと考えるビルダーまで、これほどまでに幅広い商売人の役に立つ車は他にないだろう。
 
型式番号に関してはどんなに上手く説明するのは難しい。しようとしても自ら混乱してしまうだけだろう。 まず基本的には、頭から2番目の数字はシリンダー数、3番目はドアの数を表していた。しかし、一度その法則が周知されると、ボルボは混乱を助長するかの如く並びを変えた。 私が混乱するのも当然だとお分かり頂けただろうか。

ボルボ240は1993年まで製造され、販売台数は96万台(セダンの販売台数と比べても見劣りする数ではない)で、史上最も成功したエステートカーとなった。
 
1974年の発売当時、ボルボ245DLエステートの価格は2790ポンドで、2900ポンドのシトロエンDS23サファリとフォードグラナダ3.0よりも安価であった。 プジョー504とボクスホール・ベントラのエステート、そして価格が2724ポンドのトヨタ・クラウンはたしかに手頃ではあったが、どれも十分な耐荷力を兼ね備えていない。 もし、車の価格が使用可能な積載量の容量で設定されるとするなら、240は比類のないものだったであろう。ただ、しばしば見落とされがちなのは、240エステートの特別価格が他のほとんどの製品よりも低い点だ。 ボルボにとって、エステートは主戦場であり、優先度の低いジャンルではなかった。 240が進化していくにつれ、ボルボはよりラグジュアリーな路線に焦点を合わせていき、1977年に発売された265GLは8277ポンドという金額で、世界で最も高額なエステートカーとなった。

文:Octane UK 訳:オクタン日本版編集部

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