ビッグな1801ccボクサーを、ROCKとROLLの違いで楽しむ!

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歴史あるBMWの水平対向2気筒エンジン、通称ボクサーエンジンは2020年で生誕100年を迎えている。そのアニバーサリーイヤーにデビューしたこのBMW R18はボクサー史上最大排気量の1801ccエンジンを搭載。このR18は1936年登場のR5のオマージュともいわれている。



剛性力の高いパイプフレームを採用したR5はボクサーながら高回転型エンジンを搭載するモデルであり、約2600台が製造された。



一見クラシカルに見えるR18。BMWモトラッド全体におけるポジションはクルーザーである。黒く太い2本のフロントフォークは計り知れない力強い印象を与え、しかも「これでもか!」というほどワイドなボクサーエンジンは、どこから見てもBMWの象徴のようであり他の何物にも似ていない。そしてクラシカルな雰囲気を醸し出しつつも、細部のあちらこちらに最新機能を備えていることが心憎い。

適度に低いシートに跨り、1801ccの激しい鼓動を期待しながらスターターボタンを押す。低いノートで響く初爆音。ビッグボクサーのトルクリアクションは上手くコントロールされており、手に負えないほどではない。スロットルで軽くブリッピングすると車体は左に軽く傾げる。クラッチレバーを少し緩めると、大きな車体はズッと前方向に押し出された。





R18はハンドル左側のモードスイッチでプログラムをチョイスできるのだが、そのモードの名称がユニークだ。これだけの排気量なので安全対策のために雨用に用意されたRAINモードは納得だが、あとはROCKモードとROLLモードとなる。設定はROCKがダイナミックで、ROLLはいわゆる日常用。このクラシカルなイメージに、あえて「Rock ‘n’ Roll」という言葉を持ち込むあたりにR18の遊び心が見えてくる。

シングルメーターは一見シンプルだが、液晶モニターにはモードやエンジン回転計、オド&トリップ計、時計、電圧計など、さまざまな情報を表示させてくれる。

ROCKモードは強烈だ。スペック上の最高出力こそ91馬力と大人しいものの、低速域から始まる図太いトルクにより強烈な加速を楽しむことができる。ちょっとした暴れ馬を操る感覚とでも言おうか、クルーザーよりストリートファイターと思えてくるほどの面白さである。一方でROLLモードは従順。普段遣いにはこれがぴったりだ。

このR18をテストしていて面白い経験をした。わずか半日で5人もの方に声を掛けられたのだ。そのうちの2人はすでにR18を知っていた。まだ「現車を見たことがなかったので」と撮影中もじっくりと観ていかれた。残る3人は女性。「クロームに輝くエンジンヘッドが素敵だ」「クラシカルに見えるが、これは何年式か?」「低く安定して見えるがとても重いのか」など具体的な意見や印象をお伝えいただき嬉しくなった。しかもそのうちの1人は大型二輪免許を取得中であり、R18も次の候補バイクの一つだという。

左右2本出しとされたエキゾーストシステムは、マフラーエンドがフィッシュテールデザインになっている。エキゾーストサウンドは低く太く、大排気量ならではの力強さがある。

もしかしたらBMW R18は、大型クルーザーに新しいジャンルを生み出した可能性もある。大きな排気量だけに注目することなく、このユニークなR18 をベースにした、今までとは違うモーターサイクルライフの拡がりが期待できそうだ。

フットボードが用意され、シフトチェンジはシーソータイプが採用されている。シーソータイプはシフトアップ時の足首の負担が少なく、ロングツーリングでも快適だ。そのペダルの上には後進用のリバースレバーが用意される。セルボタンの操作で楽にバックが出来る。



【諸元】
サイズ:全長×全幅×全高=2440×964×1731mm(ミラーを含まず)
シート高:710mm
ホイールベース:1731mm
乾燥重量:365kg
タンク容量:16L
燃費:5.6L/100km
排気量:1802cc
タイプ:空油冷4ストローク水平対向2気筒OHV 4バルブ
最高出力:91PS(67kW)/4750rpm
最大トルク:158Nm/3000rpm
トランスミッション:6段MT
価格:297万6500円(税別)

オクタン日本版編集部

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