2台の素晴らしきワンオフミニをグッドウッドサーキットで試乗!

この記事は『ほとんど偶然の産物で誕生したミニ・クラブマン・エステート』の続きです。

レース仕様のエステートには、どこか謎めいたところがある。車重が大幅に増えるかと思いきや、実際には数kgの違いだ。同様に、空力からくるスピードのアドバンテージや、ハンドリングの安定性向上などが、パドックではまことしやかに囁かれるけれど、バーネットによれば、ペースやフィーリングに関してサルーンとの違いはほとんどないという。私は一般的なサルーンのクーパーSと1275GTでレースをした経験があるので、自分の手で確かめるのが待ちきれなかった。はたしてルーフとホイールベースが長いエステートは、ひと味違う走りをするのだろうか。
 
カントリーマンに乗り込んでシートベルトを締め、バックミラーを見て、背後に続く車体の長さに驚いた。しかし、ドライビングポジションとフロントウィンドウの近さはクーパーSを思い出させる。こうしたミニはまさに“かんしゃく玉”で、このウッディーも例外ではない。グッと踏み込んでピットから飛び出していく間にも、(トルクステアで)ステアリングの太いリムが左へ右へと引っ張られ、シフトアップのたびにホイールスピンし、ギアの金属音がこだまする。


 
私はミニをドライブするのも、グッドウッドを走るのも久しぶりだったので、慣れるのに1周ほど必要だった。カントリーマンの走りには、お馴染みの慌ただしさがある。エッジの粗いサウンドと、急速に高まる回転とパワーデリバリーがその感覚を増幅する。ドライバーが忙しく働かなければクーパーSは疾走しない。スピードが足りないからではなくて、常にステアリングを修正し、ペダルやギアを操作し続けなければ、沸騰状態を保てないのだ。
 
ターンインは申し分ない。サルーンのクーパーSと同じように、クリッピングポイントに少し鼻先を向けてやるだけで、初めは心許ない感じだが、やがて絶妙の4輪ドリフトに落ち着く。スライドのバランスを取るためのステアリング修正は必要かもしれない。しかし再び踏み始めたら、あとはステアリングを直進方向に保って、ミニがあの独特のカーブを出口に向けて描くのに任せればいい。
 
サルーンより安定しているかといえば、多少そんな気もする。とはいえミニの強みは敏捷性にあるから、活発さが少し抑えられれば不慣れなドライバーは信頼しやすくなるだろうが、サイドスリップが小さくなりすぎると、せっかくのコーナリングスピードが消されてしまう。バーネットはもっと速いサルーンとも渡り合えるから、同等なのは確かだ。セットアップを改善する余地はあるけれど、FIAの認定なしで出走を認められているのは大勢に影響しないという理由からなので、スピードアップを目指す意義はあまりない。
 

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA Words:Richard Meaden

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