映画館が付いた車?歴史に残るユニークな一台がオークションに

aste bolaffi

イタリアの自動車メーカーであるランチアが1959年から1963年にかけて生産していた、"ジョリー"という小型商用車があった。乗用車「アッピア」をベースにした低床式のジョリーは、バン型とピックアップ型の車体が用意されていた。その後、エンジンを大型化したスーパージョリーと呼ばれる改良型が登場、4年間で3000台以上が生産されている。

コードネーム809のジョリーは、4気筒1,090ccのエンジンを搭載し、36.5馬力を発揮する。最高速度は98km/hであった。ボディサイズは4,595mm、全幅1,815mm、全高1,902mmで、重量はおよそ1,500kgである。あくまでも商用車として使用されていたため、現在は錆びてしまっているものも多く、綺麗な状態で残っているものを見かけることはほとんどない。バン型はランチアのサービスカーやレーシングチームのコマーシャルカーとして、といった場面で活躍し、ピックアップ型は牽引車にも使用されていた。どちらもユニークな風貌で、現代で乗ったら目立つ車だろう。



そして、現在オークションに出品されている1963年のジョリーは、非常に珍しい用途で使われていたものだ。ベネヴェント州のナンバープレートを付けたそれは、移動式映画館として楽しみを提供していた。1990年代初頭までアヴェッリーノ県とベネヴェント県の村の広場を巡回し、映画を上映していたといわれている。



何年も前に再塗装されているが、ボディは健全で、インテリアもよく保存されており、素晴らしい状態を保っている。オーナーズマニュアルと希少な純正ジャッキも残っている。そして、トリノのMicrotecnica社製のプロジェクターとコールランタン、取り外し可能なスチール構造のターポリン、スピーカー、フィルムなど、映画の投影に必要なすべての機器はもちろん装備されている。屋根の後部が開くので、機械式リフトでプロジェクターを持ち上げることができるようになっている。



ランチアの商用車としてはめったに見ない例で、当時のオリジナル装備によりさらにユニークなものとなっている。ランチアの歴史において重要な一台であるが、かつてこの車で人々が楽しんでいたと考えると、その想いも含めて受け継いでいきたいものだ。推定落札価格は3万~4万5000ユーロ(約390万円~585万円)となっている。

オクタン日本版編集部

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