戦闘機を彷彿とさせる!10年をかけてレストアされた唯一無二のランチア

RM Sotheby's



1960年代に入ると、シャシーB52 1052はアメリカに渡った。カリフォルニア在住の愛好家が所有した後、ミシガン州出身のアメリカ人自動車エンジニア、ウィリアム・ボラーシュの友人が1968年にこの車を購入した。購入時のPF200 Cは全体的に良好な状態で、その後30年以上にわたって所有され、1996年にボラーシュ氏がフロリダに移住した際にも共にあった。

その後すぐに、ボラーシュ氏はフロリダ州ターポンスプリングスの専門家とレストアを開始した。ボディは酸で浸し、小さな腐食部分を除去して再加工した後、外装を上品なマルーンの深みのある仕上げにした。フロントアクスルとトランスアクスルは、元ランチアの弟子であるフロリダ州サラソタのルチアーノ・サンゾーニにリビルドを依頼している。ブレーキ、サスペンション、ワイヤーハーネスなどもきちんとリビルトされている。ピストン、リング、スリーブなど多くの新しい部品を取り付けて、エンジンを完全に作り直した。さらに、短いキャブレターやオフセットしたエアフィルターなど、ボンネットをきちんと閉めるために必要なパーツも用意した。



このアウレリアはワンオフのコンセプトカーであるため、トリムパーツの多くは調達できない代物である。また、1968年の購入時には塞がれていた独特のエキゾーストセットアップを、新たにクロームメッキされたパイプに適切に配線することもおこなっている。ウィンドスクリーン、トップ、カーテンはオリジナルの部品を使って丁寧に作り直され、フレームはすべて美しくクローム化されている。インテリアはフロリダ州タンパのルディ・ベイリーが張り替え、ピレリのトランクマットも本物のNOSを調達し、オートボックスのラジオも2台のオリジナルユニットから再生された。



約10年の歳月をかけておこなわれたレストアは、2013年初頭に完了した。この素晴らしいPF200 Cは、2013年6月にセントジョーンズで開催されたコンクール デレガンス オブ アメリカに出展され、クラス賞を受賞し、翌年3月には2014年アメリア・アイランド・コンクール・デレガンスでもクラス賞を獲得した。

その後、オリン・スミス氏がボラーシュ氏から譲り受けたこのランチアは、新しいガラス製のフロントガラスを取り付けるなどの改良を加えながら、引き続き楽しまれている。特に、FIVAパスポートを取得した後の2015年には、有名なコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステに参加し、"Hollywood by the Lake "クラスでクラス1位に選ばれた。その後、フロリダに戻り、2016年のボカラトン・コンクール・デレガンスでも受賞している。

現在もショー・コンディションが保たれているこの見事なレストアが施されたランチアを所有するというのは、ピニン・ファリーナの重要な歴史を持つということにもなるだろう。2017年のオークションに出品され、およそ1億5000万円を超える価格で落札された。現在の所在は明らかにされていない。

オクタン日本版編集部

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