[Octane UK版が選ぶ]いま買いのポルシェはどれだ?|モダンミディ編

Octane UK

ここ10年以上もの間、クラシックポルシェの価格は上昇し続けているが、ベスト・バイのモデルとは何なのか?それは皆が気になるところだろう。カテゴリー別に本当の価値あるポルシェをグレン・ワディントンが解説する企画、第三弾はモダンミディ編だ。

※この記事はOctane UK版2018年10月号に掲載された記事を編集翻訳したものです。


れっきとした6気筒エンジン、高尚なハンドリング、パンチの効いたパフォーマンスとステアリングフィール.....。新車ではなかなか得ることのできない魅力をたったの10,000ポンド(約150万円)、いや5000ポンド(約75万円)程度で手入れることができるとしたら、車好きのあなたは一体どう考えるだろうか。その答えは1996年に初期型がデビューしたポルシェ・ボクスターである。

あの時代のポルシェは喘いでいた。時はポルシェの救世主となるポルシェ初のSUVカイエンがデビューした2002年よりもはるか以前である。

もちろん当時も本格的スポーツカー911の人気は圧倒的であったが、911はブランドの屋台骨ゆえ価格も特別に高く設定する必要があり、販売台数を稼ぐことはできなかった。一方で量販メーカーとしてのコストダウンは待ったなしの状態であったポルシェは、ある秘策を思い付く。それは一部911と同じ機構をもつ廉価なポルシェを作ることで、販売台数増と原価削減をトータルで実現するというものだ。

よく見ればわかるが、996型ポルシェ911と初期型ボクスターのフロント周りはよく似ている。Aピラー付け根のスカットル部分より前の構造はほぼ同じ。ボクスターはさらにエンジンをミドに載せることでRRの911以上にバランスを高める。しかも通常はクーペよりもオープンボディのほうが高額あであるが、先に魅力的なオープンカーのみの設定とし、やがて人気が定着するとクーペのケイマンを追加するというシナリオだ。これで魅力のないスポーツカーになるはずがない。

ボクスターのチョイスで最適なのは9000ポンド (約135万円)近辺の中古車だ。この予算ならばうまくすれば276馬力エンジンを搭載した2000年代の中期型3.2Sを選べるかもしれない。この馬力は圧倒的だ。ポルシェとしてほとんどの自然吸気空冷式911を上回る出力を持ち合わせているからだ。油圧式ステアリングを搭載した最後のモデルで306馬力を発揮する第二世代ボクスターの987型は、走行距離が少ないものならば15,000ポンド(約225万円)は用意する必要がある。(編集部註:日本の場合、走行距離や程度によって相場はまちまちである)

2005年にデビューした兄弟車でクーペボディをまとったケイマンは、実はハンドリングといった点ではさらに魅力は高い。ボクスターに比しておよそ10馬力以上の出力向上を実現させたモデルが多く見られる。しかもボディ剛性に優れ、時には軽量である。おおよそだがボクスターよりも1000ポンド(約15万円)ほどのプレミアムが付与されており、「ドライバーのための車」として知られている。もちろん決して気取り屋のためのスポーティカーではなく本当のスポーツカなのだ。
もしもルーフを開けたいのなら間違いなくボクスターを選んだ方がいい。熱やサウンド対策を目的にしたボクスターのエンジンカバーの念の入れようは相当なものだし、コストも掛かっている。もう少し経てば初代ボクスターはオープンカーの代表格になりそうな気配があるし、そもそもがそういう風にデザインされているのだから答えは明白だ。


一方でそういった「足し算」としての評価の正反対に位置するのがカレラGTである。ジョン・シミスターによって書かれた記事では魅力的な車として表現されているが、500,000ポンド(約7500万円)に達する買い物は決してお買い得の特価品といえるものではない。だが、そのような大枚を投じるに値する安全なもの(つまり値が下がらない)であり、狂気的なアナログハイパーカーの究極形態の代名詞ともいえるものだ。もし買うことができる財力があなたにあるならば手に入れることをおススメする。孫に感謝されることは間違いない。


文:Glen Waddington 編集翻訳:オクタン日本版編集部

文:Glen Waddington 編集翻訳:オクタン日本版編集部

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