不朽の名車、ランボルギーニ・ミウラSV初披露から50年|特徴的な「まつげ」が消えた理由は?

Remi Dargegen

2021年はカウンタックLP500が発表されてから50周年だが、もう一台、忘れてはならない名車も同じ場で初披露されている。50年前の1971年3月、ジュネーヴモーターショーのカロッツェリア・ベルトーネのスペースに展示されたミウラSVだ。「ヴェローチェ(超高速)」を意味するVを冠したミウラSVは、当初はSシリーズに付随するモデルとして構想されていたが、SVのあまりの反響に、結果的にはSシリーズの後継となったのである。

こうしてランボルギーニのプロダクションの中で、最も高い人気を誇るミウラSVは、その時代の「スーパーカー」というコンセプトを最高の形で表現した1台として、ミウラ各モデルの中でも最高峰と認められている。当時のランボルギーニのチーフエンジニアでミウラとミウラSの生みの親であるジャンパオロ・ダラーラとパオロ・スタンツァーニは、ミウラの生産を始めてからの5年間の経験がSVに活かされていると語っている。



SVのエンジンは、最高出力を385hp/7850rpmに高め、トルクの配分を改良(40.7kgm/5750rpm)したことにより運転性能が向上した。ウェーバー製のトリプルバレルキャブレター「40IDL3C」のセッティングも新しく変更されている。エンジンとギアボックスで独立した潤滑システムが導入されたのは、SV生産開始後だったが、外見上は分からないこの変更は、技術的には極めて重要な改良となった。

SVは他のミウラ(P400とP400 S)とは技術面でもスタイル面でも大きく異なっている。4リッターの12気筒エンジンをリアミドに横置きするというレイアウトは変わらず、SVでは戦略的に補強された剛性の高いシャシー、アンカーポイントとアームが改良されたリアサスペンションシステム、130mm近いワイドトラックを採用した。フロントとリアのタイヤサイズも変更し、リアは7インチから9インチに、255幅のタイヤが装着された。デザインはよりスポーティに変わった。多くの顧客が選んだのはゴールド仕上げである。



技術的変更に伴いエクステリアにも変更が必要となった。変更を手掛けたのはミウラのオリジナルプロジェクトを担当したマルチェロ・ガンディーニ。SVのエクステリアの特徴は、拡大されたリアフェンダー、デザインを一新したテールライト、新設されたラジエーター用エアインテークが印象的なフロントボンネットが挙げられる。



しかしながら最も大きな変更は、ヘッドライト周りの有名な「アイラッシュ(まつげ)」がなくなったことだろう。



この変更は技術的な理由ではない。アイラッシュの組み立てと完璧な仕上げが非常に高度で時間を要する作業であると理解していたフェルッチオ・ランボルギーニが、ミウラの生産時間を短縮するために決定したことによる。しかし、彼は自身のミウラSVにはヘッドライト周りのアイラッシュを残し、それがこの仕様を採用した唯一のSVとなった。

SVのインテリアは、レザーを多く採用し、クロームメッキを随所に施すことで、従来よりも高級感のあるモダンな仕上がりになっている。また、ミウラSVの公式な最高速度は290km/hを超え、スタンディングスタート~1kmの距離を24秒未満で走行する。当時としては記録的な性能を誇るものだった。

150台が生産されたミウラSVは1973年初めに生産を終了したが、2年後の1975年、ウォルター・ウルフのために最後の1台が特別に製造された。このモデルは現在はサンタアガタ・ボロネーゼにあるランボルギーニミュージアム「MUDETEC」に所蔵されている。

ミウラSVの生産終了で、スピードとしなやかなラインが一世を風靡した時代も終わりを迎えた。それは、内なる情熱と優れた技術的才能に溢れた若者たちが、今なお多くの人にとって最高に美しいと称賛される車を生み出した時代であるといえるだろう。

アウトモビリ・ランボルギーニ
www.lamborghini.com

オクタン日本版編集部

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事