フランスならでは!ヴェルサイユ宮殿近くの公園で、ピクニック気分でオークションを。

Tomonari SAKURAI

新規感染者数がこれまでは6万人とか、4万人とか。それが3万人台になったので外出禁止令解除が発表されたフランス。これで5月からは少しイベントも再開されることだろう。5月3日までの間は外出禁止令がつづく。この間は生活必需品のお店しか開けることはできない。

というなかでも、オークションハウスはクローズする様子はない。現在はオークションはオンラインでできるからという見解のようだ。ヤフオクなどの個人のオークションと違ってプロの鑑定士が見極めて堂々とその価値を付けて販売するのがオークションハウス。そのオークションが行われる前には出品される商品を確かめられるビューイングが行われる。そのものが偽りのないものか、程度などを確認するために手に取ったりルーペでじっくり眺めたり、あるいはそれが機械であれば動かしてみたり。そういった場所はどうしたって人が接近することになる(もちろん電話やネットで問合せも出来るわけだが)。どちらにしてもオークションは毎日どこかで何かしら行われている。前回はパリで行われた車のオークションをお伝えしたが、今回はヴェルサイユで行われたオークションから。

ルイ16世の妹エリザベートの邸宅。フランス革命で30歳で斬首刑に。今はその邸宅は公園に。そこで行われるオークションの下見会。

下見会は野外で行われた。ヴェルサイユ宮殿にほど近い、ルイ16世の妹エリザベート・フィリッピーヌ・ド・フランスのために建てられたお屋敷跡の庭園で行われた。ここのところ温かい春らしい日が続くパリ周辺。絶好のビューイング日和だ。ここは公園ともなっているのでオークションを知らずに訪れた人たちも足を止めていた。

今回のカタログの表紙を飾ったポルシェ911S/T。1973年のモデルだがドイツのPSAutomobileによるものだ。前後ともワイド化されたボディ。2.2リッターエンジンはトリプルウェーバーの2.5リッターへ。フランクから軽量化とバランス取りを施されている。ガソリンタンクは110リッターの大容量レーシングタンクに交換され、リアシートは取り外されてロールバーが入り、レカロシートとスパルコのハーネスが奢られている。落札価格は予想価格を少し超えた18万2400ユーロ(約2380万円)。

ポルシェ911 S/T PSAutomobile。

コンディションは良くこのままレースに参戦できる。

会場でもっとも注目されたのがジャガーDタイプのRAMによるレプリカ。最も忠実なレプリカを作ることで知られるRAM社のものだ。1964年のEタイプの4.2リッターエンジンをベースに3基のウェーバーを供えている。スチールのパイプフレームに収められている。ナンバーがついているので公道を走ることができ、クラシックイベントにも参加できる。落札価格は8万4600ユーロ(約1100万円)。

ジャガーDタイプ RAMレプリカ。

落札価格を聞いて驚いたのが、先日ブブさんのレストアの話をしたFIAT 500。展示車両はそのブブさんのピカピカにレストアされたものとはほど遠く、レストア前の状態に近い。埃をかぶり長い間放置されていたのがよく分かる。予想落札価格は1500~2000ユーロ。現在のオーナーのお母さんが新車で買ったものだ。買い物やバカンスに使って5万キロほど走った。娘のモノになった後ボディは赤に塗られ、数年の放置の後売りに出されたというものだ。結局予想価格の3倍以上の7140ユーロ(93万円)となった。

母親から譲り受けたFIAT 500。数年放置されていたものをそのまま展示。

エンジンもレストアが必要そうだ。が、反して高値で落札された。

何台か出品されていたランドローバーの一台、1954年のシリーズ1は2万~2万5000ユーロの予想落札価格を超えて8万2800ユーロ(約1080万円)の価格を付けた。最近人気の日本車、とくに1980年代以降のヤングタイマー。ここでは日産300ZXが出品されていたが残念ながらお流れ。

ランドローバーが3台。その一台がフルレストアを済ませたモデル。ブルーはベルギーの憲兵隊の使っていた車両の証だ。およそ420万円で落札。

ヤングタイマーで人気の日本車。今回は落札者なし。

といった具合にCOVID-19も何処吹く風でオークションは熱気を帯びている。さて次はどこでオークションがあるかな?とスケジュールを見ていると… あった!どこかのガレージが売りに出したのかGODIER-GENOUDがごっそり!これは見たい!いや欲しい!と思ったら南フランス… 残念。


写真・文:櫻井朋成 Photography and words: Tomonari SAKURAI



1970年のEタイプ シリーズ2。残念ながら落札者なし。

1973年ポルシェ911 2.4T。コンディションも良かったが、こちらも落札者なし。

アストンマーティンDBS VANTAGEのエンジンルーム。

落札価格は約2226万円。

フェラーリDino308は約600万、マセラティINDY4200は落札者なし。奥に見えるBMW Z3は約1833万円で落札。

忠実なレプリカの一台。

ジャガーEタイプの4.2リッターエンジンを心臓部にしたDタイプレプリカ。

LYNX ENGINERINGの打刻が見える。

お屋敷の前のDタイプ。

オークション目当てでなくとも楽しめるところが良いのだ。ちょっとしたウィンドーショッピングの感覚。

写真・文:櫻井朋成 Photography and words: Tomonari SAKURAI

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