自分だけのブガッティ シロンを創る|車好きの究極の悦楽ワールドを探訪

Bugatti



顧客だけが経験できるブガッティのコンフィグレーションプログラム


仕様決めの際、多くの顧客は実際にモルスハイムのアトリエを訪問しテストドライブやファクトリー見学などの特別プログラムを体験したのちにアトリエで実車や数々のマテリアルを見ながら行うわけだが、もちろん忙しい人のためにオンラインやオフサイト(現地ディーラー)でのコミュニケーションを取ることもある。

モルスハイムにあるブガッティのカスタマーラウンジ。





50万ユーロのデポジットをmyシロン・ピュアスポーツのために払った気分で、本国担当者とのZOOMが始まった。

ブガッティのオーダーにおける最大の特徴は、本職はデザイナーだというセールス担当が一緒にコンフィグレーションしてくれること。Jascha Straub氏といって、ディーヴォやチェントディエチのエクステリアデザインを担当した経験がある。基本的にブガッティのオーダーはすべて彼のチェックを通ることになるということでもある。つまり、彼はシロンの仕様をほとんど知っているわけだ。

今回一緒に仕様決めをしてくれたJascha Straub氏。


ディーヴォやチェントディエチのエクステリアデザインも彼が手掛けた。

実際のオーダーには、ほとんど仕様が決まっていてたった30分しかかからないものから、色から何からすべてを特注したため仕様決定だけで数ヶ月に及んだものまで、これまでにも様々あったらしい。最も標準的なパターンとしてはディーラーで大まかな仕様を決めてから最終決戦に挑むというパターン。ちなみにブガッティのオフィシャルサイトでは数パターンの色変えくらいはできるが、他ブランドのようにコンフィグレーターまでは備わっていない。

シロン・ピュアスポーツの仕様決めは、まず2トーンかモノトーンかを決めるところから始まった。自分の好みをはっきりと伝え、それを元にデザインのプロから提案を受けるという、そのやりとりが既に面白い。ゴールドやパープルが好きだといえば、そのイメージに近い仕様を手際よくその場でコンフィグレーションしてくれる。



そして出来上がったパターンについてひとつずつデザイナーの立場から懇切丁寧に解説してくれるのだ。「これはどこか+++風に見えるから、ちょっとスポーティだね」とか、「これならぐっとラグジュアリィに見えるよ、***にインスパイアされた感じだ」、というふうに。当然ながら、いちいち説得力がある。

ちょっと冒険した仕様を選んでも、彼が即座に「これはいいね」と言ってくれれば安心できるし、逆に彼がちょっと戸惑った場合には他の提案を促してよりブラッシュアップすることもできる。定番カラーに収めたくない場合、プロの肯定的なジャッジほど自分の仕様に自信を持てるものはない。

そうこうしているうちにJaschaからの提案がどんどんツボに入ってきた。おそらくそれまでの受け答えや声の弾み方、決断の内容とタイミングなどで、こちらの趣味嗜好がなんとなく理解できるようになったからだろう。Jaschaは顧客の好みを吸い上げるプロとして、その才能をいかんなく発揮しているようだ。デザイナーとして、セールス最終担当として。見事な橋渡し役ぶりである。

あっという間に予定の1時間が終わってしまった。Jaschaの提案が良かったからか、はたまたこちらの決断が早かったのか、いずれにしても筆者好みのシロン・ピュアスポーツが出来上がった。

こうして出来上がった「西川 淳のmyシロン」。ベース車の価格が300万ユーロということを考えると、この仕様の推定額はおよそ325万ユーロ程度になるという。

エクステリアは「Silk and Bleu Royal Carbon」、インテリアは「Beluga Black with Copper Accents」という組み合わせだ。

インテリア、エクステリアのディテールはこの記事の画像ギャラリーで確認を。

最新モデルは自分好みにオーダーしてこそ価値がある。自分で買うことなど到底不可能なモデルゆえ、その一端を味わっただけでも幸せというものではないか。


文:西川 淳 Words: Jun NISHIKAWA

文:西川 淳 Words: Jun NISHIKAWA

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