新登場のプラグインハイブリッドは何が違う?|大人気のシトロエンC5エアクロスSUV

Gensho HAGA

2019年、創立100周年を迎えたシトロエンが、BXやエグザンティア、初代C5などが体現してきたコンフォート性能を、現代に受け継ぐモデルとして投入したC5エアクロスSUV。それをベースに、シトロエン初の電動化モデルとして、プラグインハイブリッドシステムを搭載したのが、追加モデルとして登場した「C5エアクロスSUVプラグインハイブリッド」だ。

エクステリアデザインに大きな変更点はない。フロントバンパー下部とサイドシルに配された台形の加飾リングの色が、内燃エンジンモデルではホワイトのボディではレッドになるのに対して、PHEVではブルーになっている。あとはリアにハイブリッドのバッジが備わるくらいだ。





インテリアデザインも基本はベースのモデルを踏襲したもの。ドライバーの眼前には12.3インチデジタルインストルメントパネルのフルデジタルメーターが収まり、 ダッシュボード中央には8インチタッチスクリーンが配されている。メーター内の表示にはPHEV専用の機能として、現在の動力源が電気かエンジン、またエネルギー回生中かを可視化するモードが追加されている。







シートは、シトロエンの伝統で大きくてたっぷりとした座面とクッション性を備えた背面を組み合わせた快適なもの。密度の高い独自の高密度フォームを採用し、シート表皮中央部にはさらに 15mm分レイヤーを重ねることで、座った瞬間の当たりの柔らかさとなじみの良さを向上させているという。そして、ナッパレザーを標準装備していた。SUVという性格上レザーのほうがメンテナンス性には優れるが、個人的にはファブリックの選択肢があれば、さらにコンフォート性が高くなると感じた。



またシトロエンは先んじて車内の空気を自動的に安全かつクリーン状態に保つエアクオリティシステムを採用してきたブランドだが、このモデルにも搭載されている。COやNOxなども含め、外気の汚れ一定レベルを超えたとセンサーが検知すると自動的に内気循環に切り替える。また、アクティブカーボンフィルターによって、花粉や埃、PM2.5などの微細な粒子を取り除いてくれるという。PHEVならではの静かな室内空間をより気持ちのよいものにしてくれるし、子育て中のファミリーにとってもうれしい装備だろう。

出力は、180ps/300Nmを発揮する1.6リッターターボエンジンに、フロントアクスルに110ps/320Nmの電動モーターを組み合わせ、システムトータル出力は225ps/360Nmに到達。トランスミッションは、トルクコンバーターの代わりに湿式多板クラッチと電動モーターを用いたPHEV専用8速オートマチックe-EAT8を組み合わせている。リチウムイオンバッテリーの容量は13.2kWhで、EV走行可能距離は65km(WLTCモード)。シトロエンによると、日本の自動車ユーザーの一日の平均走行距離は約20kmというから、仮に実走行可能距離を70%と厳しめにみても、自宅に充電設備を備えていれば多くのユーザーは平日はほぼEVとして利用可能で、PHEVなので週末は電欠を気にすることなくロングドライブを楽しめるというわけだ。



PHEVではリチウムイオンバッテリーは、リアシート下に搭載されており、増加するリア荷重に対応するため、リアサススペンションはPHEV用のマルチリンク式にアップグレードされている。車両重量は、ガソリン仕様1520kg、ディーゼル仕様1640kgに対してPHEVは1860kgとやはりそれなりの重量増となっている。ただし、前後重量配分が56:44(ガソリン仕様60:40、ディーゼル仕様61:39)と改善されているのも大きな特徴だ。これによってハンドリングと乗り心地の両面において内燃エンジンモデルよりもワンランクアップしている。

そして、シトロエンらしいのが、先述のBXやエグザンティア、初代C5などが受け継いできた“ハイドロニューマチック”の現代的解釈とうたうサスペンションシステムを備えている点だ。「PHC(プログレッシブハイドローリッククッション)」と呼ばれるこのシステムは、ダンパー内に第2のセカンダリーダンパーを備えた構造で、サスペンションが小さく細かく動く状況や、うねりを超えるようなストロークスピードが低い状況では、減衰力が小さくハイドロのような“ゆるフワ”な乗り心地を提供。サスペンションへの入力が大きい状況では、セカンダリーダンパーによって減衰し、大きな凹凸でも底付き感がほとんどなく挙動変化を抑制するという。これをハイドロのような複雑機構ではなく純メカニカルな構造で実現し、信頼性を高めている。この技術は1994年のパリ=ダカールラリーで優勝したシトロエンZXラリーレイドで投入され、その後2000年代から2019年までのシトロエンのWRCカーに採用されたものをベースとしているという。奇しくもルノーもラリーの技術を応用し、セカンダリーダンパーを備えたHCCという機構をメガーヌR.S.などに搭載しているが、ルノーはニュルブルクリンクを速く走るために、シトロエンは世界中の道を快適に走るために、この技術を活用しているというわけだ。

ドライブモードは、EV走行する「エレクトリックモード」をデフォルトとし、エンジンとモーターが状況によって自動的に切り替わる「ハイブリッドモード」、エンジン主体で駆動する「スポーツモード」の3つがある。エンジンへの切り替わりはとてもスムーズで意識していなければ気づかないほど。またシフトレバーをBに切り替えれば、まるでシフトダウンしてエンジンブレーキを効かせるような感覚が味わえる。惜しむらくは一度表示が0kmになると積極的に回生しても数字が増えることがない。メーター表示上はバッテリー走行可能距離が0kmになっても常になんらかのハイブリッド走行は行うというから、そうしたバッファ分として保持されているのだろう。またエンジンを使ってバッテリーにエネルギーを蓄えるチャージモードの設定があればと感じた。本国には設定があるというので、アップデイトに期待したい。



シトロエンユーザーの特徴として、購入動機の1位が「デザイン」、2位が「快適な乗り心地」だという。そして満足している点は55%と圧倒的な1位として、「快適な乗り心地」を挙げている。「C5エアクロスSUVプラグインハイブリッド」は電動化によって得たスムースな動力性能、静粛性、そして低重心化と前後重量配分の最適化によって、現行ラインナップでもっとも“快適な乗り心地”のシトロエンといえるだろう。補助金や税制上のメリットもあるため、C5エアクロスSUV狙いなら、やはりこれがいい。


文:藤野太一 写真:芳賀元昌 Words: Taichi FUJINO Photography: Gensho HAGA

文:藤野太一 写真:芳賀元昌 Words: Taichi FUJINO Photography: Gensho HAGA

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