クラシックモデル用『tubi style』で 蘇る跳ね馬サウンド

Photography: Rei HASHIMOTO, tubi style

せめてエンツォが生きていた時代までの跳ね馬には今も、そしてこれからもずっと、ベストなコンディションで走り続けて欲しい。心からそう願い、入庫する個体と真摯に向き合ってきたナカムラエンジニアリング。そんな彼らが最近になって新たに取り組んでいるのが、イタリアの名門ブランド『tubi style』のクラシックモデル用マフラーを直輸入し、販売することだ。

“チュビ”というブランド名そのものはイタリア車好き、フェラーリ好きの間ではつとに有名だと思うが、最新モデルのみならず過去のモデル用マフラーを今もなお製造していることはあまり知られていない。コラムにもある通りフェラーリ本社のレストア部門とも連携して、クラシックモデル用エグゾーストシステムを製造していたりもする。

もちろんフェラーリオーナーなら最新モデル用も気になるところで、ナカムラエンジニアリングでも要望があれば希望のモデル用システムを適正価格で輸入販売する。何せチュビ・スタイルの公式サイトを見れば最新モデルまでほとんどすべてのフェラーリ用システムが揃っているのだ。けれどもナカムラエンジニアリングの本分はあくまでも“エンツォ生前のモデル”。具体的には348(&F355)系、12気筒ならばテスタロッサ(&512TR)系、そしてエンツォ時代の空気感をまだしも残した90年代半ばまでの跳ね馬たちで、いわばマニュアルトランスミッションで操ることが楽しかった時代のモデルだ。

逆にいうと、この時代の跳ね馬オーナーでパワートレーンまわりのパフォーマンスを含め現状のコンディションに不満のある方は、エグゾーストシステムまで含めたリフレッシュやレストアを検討する価値が十分にあるということ。



ナカムラエンジニアリングではおなじみの“インスペクションプログラム”が好評で、愛馬のコンディションをある程度まで把握できる絶好の機会となっている。その診断を見て、あまりの問題の多さに驚くオーナーも少なくない。

かといって、ナカムラエンジニアリングではそのすべてをいきなり完璧にすることを勧めてはない。まずは走るために重要で緊急性のある問題点から仕上げていく。オーナー自身も現在の状況から車が徐々によくなっていくプロセスを楽しむ。走らせながら、車を真の意味で自分のものにしながら、コンディションをあげていく。もちろんそれだけ付き合いが長くなるけれども、実際にそうやって数年、なかには十年以上かけて素晴らしいコンディションにまで仕上げられた個体も多い。

飾るだけの跳ね馬であれば見た目だけ綺麗にすればいい。実際、そのような状態でナカムラエンジニアリングに入庫して、“蓋を開けて”みれば走らせることなどまるで考えられていないという状況のクラシックモデルも散見される。そういう個体を見るたび、代表の中村一彦は悲しくなる。

エンツォ・フェラーリが草葉の陰で泣いているじゃないか、と。




マラネッロ村で生産されるエグゾーストシステム



 Tubi(チュビ)の歴史は1987年に始まった。ファウスト・レッティエリとエンリコ・ルイーニがフィオラーノテストトラックの近くに小さな工房を構え、そこにミケーレ・レオが加わって、彼らの挑戦はスタートする。芸術的な仕上がりと技術力の高さで瞬く間にその名は有名となり、今ではマラネッロ村に巨大なファクトリーを持つ成功した企業となった。

なかでもクラシックモデル用のエグゾーストシステムはフェラーリ社と締結されたパートナーシップを元に製造されており、その再現性とクォリティの高さでクラシケにも対応する逸品。写真のシステムのように世界トップレベルのコンクールデレガンスで認められたモデルにも採用されているのだ。



イタリアの職人芸を工業製品にまで昇華した典型としてのチュビ・スタイルは、最新モデルのみならずクラシック愛好家にも、大いに頼れる存在というわけである。


文:西川 淳 写真:橋本 玲、tubi style Words: Jun NISHIKAWA Photography: Rei HASHIMOTO, tubi style

文:西川 淳 写真:橋本 玲、tubi style Words: Jun NISHIKAWA Photography: Rei HASHIMOTO, tubi style

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