ぜひ訪れたい!世界でここだけのホバークラフト博物館

世界最大の「プリンセス・ロイヤル」と(ほぼ)世界最小のホバークラフト「ミニ・ホバー」(Alamy, Paul Bussey)

この博物館は、文字通り唯一無二だ。60機以上ものホバークラフトを展示しているところは、世界でここしかない。各クラフトは会場内外に点在し、チケット売り場でさえ、実物の「SRN4 サー・クリストファー」のコクピットが使用されている。以前はトマトの温室として利用されていたが、こちらの方がよっぽど良い。

この施設を訪れるために、熱心なホバークラフトマニアになる必要はない。この博物館は、1980年代後半に構成されていた”ホバークラフト・ソサエティ”から展開されたもので、今では公益信託の状態だ。最初のクラフトは、1986年にスクラップにされる寸前のところで、同ソサエティのワーウィック・ジェイコブスによって保護された。それは非常にレアかつ重要な「SRN5」だった。ジェイコブスの母親は、家族の住む家の前の庭にそのホバークラフトを置くことを断固として拒否したのだが、とにかくそれをずっと保管する場所は必要となる。そこで浮かんだのが博物館というアイデアだったのだ。

幸運にもそれは、リー・オン・ザ・ソレントの飛行場にあった、元・水上飛行機の格納庫にぴったりと収まった。そこには既存の船台が残っており、ホバークラフトを出し入れするのに非常に便利だった。

今までに屋外で展示された最も巨大なホバークラフトは「SRN4 Mk3 プリンセス・アン号」だ。建造された商用ホバークラフトの中でも最大のものでもある。重量は300トン以上で、全長は55メートルを超える。418名の乗員・乗客と60台の車を載せ、イギリス海峡を35分間で航行する。動力はMarine Proteus製のガスタービンエンジン4基で、それぞれが3,800shp(軸馬力)だ。そして、プロペラは21フィートもあり、世界記録に認定されている。この驚異的なクラフトは、内部を見学することもできる。

一転して、「ミゼット」の方は、世界で最小のホバークラフトだ。1960年代後半に、ピーターバラ市のHatton & Bass社によって建造され、表向きにはアミューズメントパーク用とされていた。全長は1.8メートル、幅0.9メートルで、3.5馬力のフルストロークエンジンが搭載されており、5枚のブレードのファンで航行する。展示されているもう一台の小型クラフトは「ホバーボード」で、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャーⅡ』にインスパイアされたものだ。1980年のシドニー・オリンピックの開会式で使用された、18台のうちの1台だ。最高速度は20mphも出るが、ブレーキはない…

お次は「ミニ・ホバー」だ。MINIの車両を使って造り出されたもので、完全に動作する。他にも完全自作のもので、TVシリーズ『 Scrapheap Challenge』内でたった24時間で製作されたホバークラフトもある。「ザ・ミリタリーBH7」や「ウエリントン・クラス」には、煙突のようなものが生えていて、1969年には「Mk2」が唯一プロトタイプとしてローンチされた。北極圏(海)までの往復を、70mph以上のトップスピードで航行した。



スペシャルイベント開催中は、ホバートラベル社のクラフトのうち1台に乗ることができる。現在では、南太平洋とワイト島の間の貿易用に定期航行している。しかし、こういった乗船体験がなくとも、この博物館への訪問はたいへん貴重な経験になるだろう。

ホバークラフト博物館
住所:Marine Parade West, Lee-on-Solent, Hampshire PO13 9NS
電話:+44 (0)2392 552090
公式HP: www.hovercraft-museum.org.
営業時間:土曜日の午前10時〜午後4時
その他の日やスペシャルイベントは要確認
入場料:大人8ポンド、子ども5ポンド、家族22ポンド(大人2人・子ども3人)、
譲許料金(減額対象者)7ポンド、介護者は無料
バリアフリー対応、軽食あり、小型ギフトショップあり


翻訳:オクタン日本版編集部 Words: Paul Bussey Images: Alamy, Paul Bussey

翻訳:オクタン日本版編集部 Words: Paul Bussey Images: Alamy, Paul Bussey

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