チーズ好きにはたまらない?|メゾン・ド・コンテを訪れて

Photography: Tomonari SAKURAI

ようやくバカンスが終わり、9月はイベントがあちこちで再開されているフランス。でも取材には行けていません。すみません。僕はいま日本にいます。8月の末に日本に到着すると否応無しにホテルで3日間の軟禁生活を経験。釈放されたその日、部屋から出たときに足がふらつきました。部屋ではトイレくらいしか歩かなかったから。この隔離措置は9/19で解除されました。

さて、以前僕の写真をプリントしてくれた人間国宝のファニーさんを紹介した。この時の作品はフランスで最も人気の高いコンテチーズの世界をテーマにした。自然と大地と人が育んだチーズ。今回、日本に帰国する前に再びこのコンテチーズの里を訪れた。そこには4カ月前にオープンしたばかりのメゾン・ド・コンテがある。以前そこを通り過ぎたときはまだ建築中だったが、今回はそのメゾン・ド・コンテを訪れることができた。

ジュラ山脈からの木材を使った建物。2500㎡の敷地の中に1500㎡の展示場という広さだ。

エントランスは広く明るい。おみやげコーナーも充実。


日本でフランスのチーズといえばカマンベールチーズがよく知られている。フランスで人気があるのに日本ではほとんど知られていないコンテチーズ。ブルーチーズのような強い癖もなく、そのまま食べても、サラダなどに入れても、もちろん熱を加えてとろりと食べてもおいしい。

等身大のモンベリアール牛の木像とその後では酪農家のインタラクティブなムービーが。

コンテチーズはジュラ地方、フランシュ=コンテ圏で作られるチーズ。スイス国境に接し、僕が泊まる宿は右に出ればフランス、左にでればスイスと、国境のうえにある宿なのだ。

実物大のチーズを作るときに使われる釜にモニターが仕組まれ、ビデオの解説と連動してミルクがチーズに変わる様を見ることができる。

この地の牛、モンベリアール牛のミルクから作られたチーズは熟成庫に運ばれ最低6カ月熟される。熟成度合いで風味が変わるので一般的にお店に並んでいるのは6、12、18、24カ月の熟成のもの。言葉でその味をお伝えするのは難しいのだが、よく言われるのは「ナッツのような…」というたとえがある。また、夏の花も餌に食べる時期の牛のミルクで作られるコンテチーズは少し黄色みが強く甘みが強い。熟成の月から逆算してその中から黄色みが強いものを選んで買う。なんていうのもチーズ好きの楽しみのひとつだ。

熟成庫のコーナー。丸く並べられたのがコンテチーズの1玉。実物早く40kgある。

このコンテチーズの里の最寄りの高速道路の出口を出てジュラ山脈を目指すとすぐにそこにメゾン・ド・コンテがある。ここではコンテチーズがどのようにこの地で受け継がれたかの歴史をアニメで紹介された後、コンテチーズのための農場、チーズ工房、熟成庫のセクションに分けて最新のモニターやタブレットを駆使したバーチャルで触れることができる。子供達とコンテチーズに触れた後は先ほどお話ししたように熟成度合いが違うとどう味わいが変わるのかを体験できる試食が待っている。イベントではコンテチーズをつかった料理教室なども開かれている。コンテの魅力をたっぷり堪能できるのがこのメゾン・ド・コンテというわけだ。

見学者の一番お楽しみ試食コーナー。そこには様々なコンテのレシピが置かれている。

このコンテチーズによく似合う、黄色いワインはやはりこの地方の名産。またこの辺りには「フランスの最も美しい村」に選定された村が数多くある。冬はスキー、夏はクロスカントリーとバカンスシーズンは多くの人で普段は賑わう。ジュラ山脈ということでドライブをするのにほどよい峠道も楽しめる。いつになったら好きなときに好きな場所に行ける世の中になるのかは全く見えてこないが、そんな元の世界に戻ってフランスに旅する計画を立てたなら、ぜひこのジュラ地方を候補に挙げて欲しい。

コンテチーズは生産者協会によって厳重に管理されている。そのオフィシャルグッズが並ぶおみやげコーナー。

La Maison du Comté :https://www.maison-du-comte.com


他の写真も見たい方はこちらの画像ギャラリー【全17点】

私事ですが、9/21~26はフランス人間国宝のファニーさんとのコラボで再び都内で写真展を開催中。なかなか外出の難しい時期ですが是非遊びに来てください。

櫻井朋成写真展:9/21~26
roonee247 fine arts
東京都中央区日本橋小伝馬町17-9 さとうビルB館4F
TEL & FAX 03-6661-2276

写真・文:櫻井朋成 Photography and words: Tomonari SAKURAI

写真・文:櫻井朋成 Photography and words: Tomonari SAKURAI

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