ウォルター・ウルフ氏とともに「紺色の狼」が鎮座する|カウンタックがジャックしたヴィラ・デステ2021

Photography: Shinichi EKKO, BMW Group Classic

北イタリア コモ湖畔にて開催されるコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステはコロナ禍のため、残念ながら昨年は中止となってしまった。しかし今年は例年の5月からは延期されたものの、10月2~3日の二日間に渡って無事執り行われ、希少なクラシックカーと世界のコレクター達が集まることとなった。

例年ならば土曜日に一部の関係者のみが集まりクローズドにて審査が行われ、翌日曜日は隣接するヴィラ・エルバにおいて参加車両達が一般公開されるというイベント形態がとられる。しかし大人数の密状態を避ける為に今回は日曜日の一般公開がキャンセルされ、両日ともヴィラ・デステのみで、例年よりもさらに限られた参加人数で開催された。しかし、エンスージアスト達の溜まっていた情熱が噴出するかのように、その内容は例年にも増して濃いものであった。



結論から言ってしまおう。今回集まった50台あまりの素晴らしいノミネート車両におけるハイライトの一つは“ランボルギーニ・カウンタック”であった。折しも本年はランボルギーニ・カウンタック生誕50周年という記念すべき年だ。去る8月に112台限定生産のカウンタックLPI-800-4が発表され、カウンタックの名が復活したことは記憶に新しい。しかし、彼らはもうひとつのサプライズを用意していた。

筆者は先月、ランボルギーニのチーフデザイナーであるミティア・ボルケルトをサンタアガタに訪ねたのだが、その時、“カウンタックのサプライズはまだまだ続くからね、ヴィラ・デステで会おう”と彼がニヤッと笑ったのを見逃さなかった。そう、世界的に著名なランボルギーニ・コレクターとランボルギーニ・ポロストリコとの共同作業によって、幻のカウンタックLP500コンセプトの復元車両のアンヴェイル計画が秘密裏に進んでいたのだ。



クラッシュテストの為に犠牲となった現存しないコンセプトモデル ~マルチェッロ・ガンディーニとチーフエンジニア 故パオロ・スタンツァーニによる伝説的共同作業の復刻~ そのアンヴェイルは間違いなくヴィラ・デステにおける大事件であった。しかし、それだけでは終わらなかった。なんとダークブルーの美しいボディを纏った通称“ウルフカウンタック3号車”までもがヴィラ・デステに登場したのだ。



カウンタック初代生産モデルであるLP400に惚れ込んだ当時のF1チームオーナー、ウォルター・ウルフは理想のワンオフ・カウンタックの開発をランボルギーニとコンサルタントとしてジャンパオロ・ダラーラへと委ねた。世界で一基のみ存在すると言われるダラーラ・チューンの5リッターエンジン、F1譲りの8ポットフロントキャリパー、そして空力の最適化を実現するためのリアウイングなどが装着された、まさにファイナル・エボリューションモデルたる貴重なモデルだ。ピレリへと特別オーダーされたワイドなP7やそれを包み込むワイドフェンダーはその後の生産モデルであるLP400Sに受け継がれたことは言うまでもない。そんなエポックメーキングなカウンタックが日本人オーナーによって、ここコモ湖畔のヴィラ・デステに持ち込まれた。まさにカウンタック史における重要なプロトタイプ2台が並んだわけだ。



会場には最高のコンディションに磨き上げられたウルフカウンタックが鎮座しており、その横にはなんとその生みの親であるウルフ氏本人までがいるではないか。ヴィラ・デステのハイライトであるパレードランではそのウルフ氏を助手席に、共にこのスペチアーレの熟成を行ったヴァレンティノ・バルボーニがステアリングを握った。いったいカウンタック・ファンとしてこれ以上、何を望もうか!





果たしてこのウルフカウンタックは”スーパーカーの誕生”というヴィラ・デステのカテゴリーにおいて、並みいる強豪たちを蹴散らしウィナーとなったのだ。これをしてカウンタックがヴィラ・デステをジャックしたと表現したとすればそれは言い過ぎであろうか。



文:越湖信一 写真:越湖信一、BMW Group Classic Words: Shinichi EKKO Photography: Shinichi EKKO, BMW Group Classic

文:越湖信一 Words: Shinichi EKKO

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